【8月28日 AFP】2000年シドニー五輪のバドミントン女子シングルスで、銅メダルを獲得した中国の葉釗穎(Ye Zhaoying)氏が27日、同胞の金メダル獲得の可能性を広げるために、準決勝でわざと負けるよう指示されていたことをデンマークのテレビ番組で明かした。

 シドニー五輪から22年、世界ランキング1位に立ったこともある葉氏はデンマークの民放テレビTV2によるインタビューで、準決勝の相手だったゴン智超(Gong Zhichao、ゴンは龍に共)氏が、デンマークのカミラ・マーチン(Camilla Martin)氏との決勝に向けて体力を温存するため、試合に負けるようチーム上層部に迫られたと話した。その後、ゴン氏は順当にマーチン氏を下し、金メダルを獲得した。

 葉氏は「そうするよう求められた。わざと負けたふうには見えないようにしろとも言われたが、同時にゴン智超が疲れすぎないようにすることも求められた」と主張し、「3セットではなく2セットで負け、彼女が疲労しすぎないようにするのがチームの望みだった」と発言。「自分はそうせざるをえなかった」と明かした。

「五輪は選手にとって、ほとんど一生に一度きりの機会だから、とても悲しい。しかし個人で体制に逆らうことはできなかった」。敗戦を指示したというコーチや幹部の個人名は出さなかった。

 告発を受け、世界バドミントン連盟(BWF)はプレスリリースを出し、「今回の過去の出来事に関わる具体的な細部についてはコメントできない」としつつ、八百長への対策は実施していると述べた。

 今回のインタビューはスペインのマラガ(Malaga)で行われた。葉氏は夫で元サッカー選手のハオ海東(Hao Haidong、ハオは赤におおざと)氏とともに、母国を離れて同地で暮らしている。中国サッカー界のスターだったハオ氏は2020年6月に中国共産党を激しく批判し、二人によれば帰国できる望みはほとんどないという。

 反体制的な姿勢を取る二人の存在は、中国のインターネットの世界から抹消され、中国の検索エンジン「百度(バイドゥ、Baidu)」ではヒットせず、微博(ウェイボー、Weibo)や微信(WeChat、ウィーチャット)のようなSNSからも削除されている。(c)AFP