【8月26日 東方新報】中国沿岸部と比べて経済成長が遅れている西部の青海省(Qinghai)や寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)で、枸杞(クコ)の実が住民に富をもたらしている。

 クコは乾燥に強く、高木が生えにくい荒れ地でも成長し、挿し木で簡単に育つ。クコの産地として有名なのが、青海省(Qinghai)のツァイダム盆地(Chaidamu)。日照時間が長くて昼夜の寒暖差が大きく、土壌はセレニウムを豊富に含むことからクコ栽培に適している。有機クコの栽培面積は10万ムー(約6700ヘクタール)に及び、クコ全体の生産規模は100億元(約1994億円)を超える。

 ツァイダム盆地(Chaidamu)に位置する青海省海西モンゴル族チベット族自治州(Haixi Mongol and Tibetan autonomous prefecture)にこのほど、朗報が届いた。地元企業14社が国家知識産権局から地理的表示(GI)保護の指定を受け、「ツァイダムクコ」の地域ブランドを表示して販売できるようになった。

 クコの実は食用や薬用、果実酒などに用いられているが、地元企業は付加価値を高めるため、クコの蜜、ワイン、ピュレなど多様な商品を開発している。「青海省の黒クコ」は日本など海外でも知られているが、ツァイダムクコ産業協会の何海強(He Haiqiang)主任は「高品質の『ツァイダム盆地のクコ』というブランドは大きな市場競争力を持つ」と話し、輸出の増大を期待している。

「中国クコの里」と呼ばれる寧夏回族自治区中衛市(Zhongwei)中寧県(Zhongning)も負けてはいない。「クコを食卓の脇役から主役にする」をスローガンに、クコの汁を餡(あん)の肉に加えた地元名物の炸丸子(肉団子の揚げ物)、クコの豆腐、クコとヤマイモの料理、クコのスイーツなど、「クコ料理の宴」を考案。地元のコック80人が肉、野菜、魚とクコを合わせた384種類の料理を発表している。レストランチェーン「小紅楼」のシェフ責任者、張汀(Zhang Ting)さんは「伝統を守りつつ、革新に挑んでいる」と話す。中寧県はクコ料理を地元名物としてPRし、観光客を呼び込もうとしている。小さなクコの実が各地で大きな夢を与えている。(c)東方新報/AFPBB News