【8月10日 AFP】世界保健機関(WHO)は9日、ブラジルでサルが暴行を受けたり毒を盛られたりする問題が相次いだことを受け、現在起きているサル痘の流行はサルとは関連していないと強調した。

 ブラジルのニュースサイト「G1」によると、サンパウロ(Sao Paulo)州の自然保護区では、毒を盛られたり、故意に傷つけられたりしたとみられるサルが1週間足らずで10匹に上った。救助隊や活動家は、周辺地域でサル痘患者が3人確認されたこととの関連を疑っている。

 サル痘の感染事例は以前、アフリカ西部・中部にほぼ限定されていたが、5月以降に世界中で急増。2万8100人の感染者と12人の死者が出ている。WHOのデータによると、ブラジルでは1700人以上が感染し、1人が死亡した。

 WHOのマーガレット・ハリス(Margaret Harris)報道官はスイス・ジュネーブで開いた記者会見で、現在の流行は人同士の接触により起きており、サルが原因ではないと強調。サル痘の名前は、デンマークで研究用に飼育されていたサルからウイルスが初検出されたことに由来しているが、感染する動物はげっ歯類が多いと指摘した。

 これまでの感染者はほぼ全員が男性同士で性交渉する人だが、WHOは感染者に汚名を着せることのないよう注意を喚起している。ハリス氏は「もし人々が感染者と知られるのを恐れたら、治療を受けず、予防措置も講じなくなる」との懸念を示した。(c)AFP