【7月29日 AFP】「うわっ、ウクライナ人が来た。あっちに行こう」。東欧チェコの首都プラハ北方の町ホルビツェ(Holubice)に暮らすドミニカ・ソクルさん(41)は、子どもたちを公園に連れて行くたび、こんな敵意に満ちた言葉を聞くようになった。偽情報を真に受けた人たちだと感じている。

 夫はウクライナ人だが、ソクルさんはチェコ人だ。「バスも動物園も無料だと文句を言っているのが聞こえたこともある」

 こうした反応は、欧州の一部でウクライナ難民に対する不満の鬱積(うっせき)を浮き彫りにしている。専門家によると、ソーシャルメディアの難民や給付金に関する誤情報と関連しているという。

「65歳の父は親ロシア派ではなく、ウクライナを支援しているけれど、ウクライナのナチスに関するこの話は一体どういうことなんだと尋ねてくる。偽情報がまん延している」とソクルさん。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2月にロシアがウクライナに侵攻を開始して以来、欧州諸国は約600万人の難民を受け入れてきた。チェコ、ポーランド、ルーマニア、スロバキアなどが国境を開放し、ウクライナから逃れてきた人に住宅や生活資金などを支援してきた。

 だが、特に東欧で深刻な急激なインフレが経済的な不安を呼び起こし、難民は困窮する地元住民から資源を吸い上げる恩知らずだと吹聴する偽情報の拡散に拍車をかけている。