■反感あおる経済的逼迫

 ウクライナ難民を標的とした偽情報を拡散している中心的存在を特定するのは困難だが、こうした投稿は極右政党とつながりのあるアカウントに書き込まれることが多い。

 反ウクライナ感情をあおるのはロシアのプロパガンダの特徴だと、難民問題に詳しい政治学者でドイツ社会民主党(SPD)の大統領候補だったゲジネ・シュワン(Gesine Schwan)教授は指摘する。

 同教授はAFPの電話取材に対し「ロシアは何かが起きた時、誤解させて反感をたきつけるのが非常にうまい」と説明。「(ロシアのウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin、大統領)は、自分が行っている戦争がモラルに反しているとして怒りを買っていると分かっている。そのため、ウクライナ人を非道徳的と表現することで、侵攻を正当化しようとしている」

 これまでのところプロパガンダや偽情報の影響は限定的だが、経済苦境が深刻化すれば事態が急変する恐れもあると、チェコの社会科学研究所STEMの国際問題担当ディレクター、ニコラ・ホジェイシュ(Nikola Horejs)氏は指摘する。STEMの調査によると、ウクライナへの支持は依然として比較的高いものの、ここ数週間で急速に低下している。

「偽情報の設定は微調整されている。もはやプーチンは良い人だとか戦争は存在しないといったものではなくなった。各国政府が国民の経済問題に対処せずにウクライナ人を助けているというのが今の主要テーマだ」と同氏は語った。(c)AFP/Ladka MORTKOWITZ