【7月15日 AFP】ウクライナのロシアが支配する地域で、墓が急増していることが衛星画像と地上から撮影した画像の分析により明らかになった。NGO「センター・フォー・インフォメーション・レジリエンス(CIR)」が15日、報告書を発表した。

 分析したのは、ロシア軍により支配されていた2地域と、現在も支配下にある4地域の埋葬地の画像。CIRの調査部門責任者ベンジャミン・ストリック(Benjamin Strick)氏は「オープンソースの情報により、前線の裏側やロシア軍の支配地にかつてないほど接近できるようになった」と述べた。

 南東部マリウポリ(Mariupol)の共同墓地では、昨年10月21日から今年3月28日までの約5か月間に1000基前後の墓がつくられた。

 ロシア軍は2月24日にウクライナに侵攻し、3月末までにマリウポリをほぼ完全掌握した。それ以降、墓が急増。3月28日~5月12日に新たに1141基、5月12日~6月29日に1700基以上建立されたことが衛星画像から確認できたという。

 墓の数は、独自に検証されていない。

 ストリック氏は、「特に占領された地域とその周辺で仮の埋葬地や墓が増えていることは、ロシアによる侵攻開始以来、民間人が多数死亡していることを明らかに示している」と述べた。

 ウクライナ政府は、最も激しい戦闘となったマリウポリでの民間人の死者は2万2000人に上ると推定している。

 報告書によると、ウクライナ軍が反撃を続けるロシア支配下の南部ヘルソン(Kherson)では、侵攻開始から4月初めごろまでに824基の墓がつくられた。

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ウクライナでの民間人の死者数は5000人超だとしているが、実際はこれを上回るとみている。(c)AFP