【7月13日 東方新報】中国政府が自動車の購入を促進する政策を打ち出し、新エネルギー車(NEV)などを購入する市民が増えている。景気浮揚策として単価の高い自動車の消費を促進する狙いだ。

 中国政府は5月下旬、自動車取得税を総額600億元(約1兆2246億円)減免する方針を発表。自動車取得税は車両価格の10%を徴収するもので、リーマンショック後の2009年や2015~16年に半分の5%にして以来の減免措置だ。さらに6月下旬には、中古車市場の活性化や年内に終了予定のNEV取得税免除の延長検討、自動車の並行輸入整備、駐車場の建設支援などを打ち出した。これらの施策で今年の自動車関連消費は約2000億元(約4兆819億円)増加すると見込んでいる。

 各地でも独自の奨励策を打ち出している。渋滞や大気汚染対策のため新規ナンバープレートの発行を制限している上海市や広州市(Guangzhou)などの5都市はナンバープレート16万5000枚を新規で発行する。深セン市(Shenzhen)はNEV購入時に2万元(約40万円)を助成するほか、北京市や上海市、杭州市(Hangzhou)など大都市が助成金を支給している。

 北京市の自動車ディーラーは「今年に入り、店舗を訪れる客がゼロの日もあったが、最近は1日に数十人訪れる日もあります」と喜びの声を上げる。国際情勢の影響でガソリン価格が高騰し、NEVへの買い替えを考えるユーザーも増え、20万~40万元(約408万~816万円)台の中・高クラスのNEVの売り上げが伸びているという。

 中国では自動車の製造・供給拠点である上海市が3月からコロナ禍による外出制限措置が敷かれ、生産活動が制限された。上海市内では4月の自動車販売が「ゼロ」を記録。6月に厳しい外出制限が解除され、各自動車メーカーの生産活動が本格再開している。安定供給体制が整うのに合わせ、自動車購入促進策が打ち出された。

 中国国家統計局によると、5月の消費財の総小売高は前月比0.05%増の3兆3547億元(約68兆4677億円)と、ほぼ横ばい。それもオンライン市場の電子商取引(EC)の売り上げ増に頼っているところが大きい。オフラインの消費を高めるため、単価の高い自動車の購入奨励を図っている。

 一方で、市民の間では「世界的な半導体不足や原材料の高騰で自動車価格は最近値上がりしている。減税や助成金は値上げ分を相殺しているだけ」という冷静な見方も。「今後、自動車価格が落ち着いてから購入を検討すればいい」と模様眺めの動きもあり、一連の奨励策が自動車購入増につながるかが注目される。(c)東方新報/AFPBB News