【7月11日 AFP】デンマークの自治領フェロー諸島(Faroe Islands)は10日、論争を呼んでいる伝統のイルカ追い込み漁について、今年と来年は暫定的に捕獲数を年間500頭に制限すると発表した。

 昨年9月の追い込み漁で「異例」となる1423頭ものカマイルカが捕獲されたことを受け、自治政府漁業省から暫定措置の提案があったという。

 自治政府は、昨年の捕獲量は「長期的に見て持続可能な年間捕獲量とはいえない」とした一方、追い込み漁そのものについては「島民の生活を支える重要な役割」を担っていると強調した。

 2024年以降については、北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)の科学委員会の見解が出るのを待って捕獲制限の暫定措置を見直すとしている。

 自治政府は2月、追い込み漁の禁止を求める署名130万筆が提出されたことを受け、漁の見直しに着手していた。

 フェロー諸島では、半円状に展開した漁船団がイルカやゴンドウクジラを入り江に追い込み、浜辺で待つ漁師がナイフで捕殺する伝統の漁が行われてきた。

 毎夏、海を赤く染める漁の写真や映像が世界中で報じられ、動物保護活動家が「野蛮な慣習」だと抗議の声を上げている。だが、フェロー諸島ではこの伝統漁への支持は依然高く、捕獲されたイルカやクジラが何世紀にもわたって島民の食を支えてきたと指摘する声もある。(c)AFP