【7月12日 AFP】核戦争は起こるのか、ロシアは勝つか、息子は生き残れるか──ウクライナ侵攻をめぐってロシア政府が強硬姿勢を貫く中、前例のない大規模制裁の影響が広がる国内では、占星術にすがる国民が増えている。

「世界から切り離されたロシアがどうなるのかみんな知りたがっている」。ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)で占い師をしているエレーナ・コロリョワさん(63)は、AFPに語った。

 ロシアでは昔から占星術師、霊能者、霊媒師は市民に人気があり、特に激動の時代にはこうしたサービスの需要が高まる。

 眼鏡をかけ、白髪交じりの髪をしたコロリョワさんはもともと言語学者で、口コミで占いが評判となった。山積みの書籍の間を猫2匹が歩き回る自宅アパートに依頼人を迎え、安心させる言葉を伝える。

 ロシアは経済危機を乗り切るだけでなく、勝利を収めるとコロリョワさんは予言する。「世界規模の大変動は9月にいっそう激しさを増す。しかし、ロシアはそこから抜け出して安定と繁栄を手に入れるだろう」

 コロリョワさんの占い料は1回5000ルーブル(約1万1000円)。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が2月24日にウクライナ侵攻に踏み切った後、依頼数は増えたと語る。

 ロシアの主要検索エンジン「ヤンデックス(Yandex)」のキーワード統計によると、「占星術師」の検索件数は侵攻開始から1週間で倍増し、2月19日の4万2900件から3月5日には9万5000件となった。

■政治的占星術

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を予言したとして有名になったモスクワの占星術師、コンスタンチン・ダラガンさんも、ロシアはウクライナでの戦いと西側との衝突との両方で勝利を収めると主張する。

「紛争後、ロシアは世界の中心になるだろう」と最近ソーシャルメディアで発言したダラガンさんは、ウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方出身の元航空技師。2014年にウクライナで親欧米政権が誕生した後、モスクワへ移住した。

 占星術師としてこれまでに、ロシアの閣僚や銀行家、さらにはウクライナの情報員にも助言してきたという。故郷リシチャンスク(Lysychansk)が戦闘で荒廃しても、ロシアの軍事侵攻を支持している。

 事業も好調だ。運営する「古典占星術学校」は、ウクライナ侵攻開始以降に生徒数が倍増。モスクワでは約200人が学んでいる。