■星読み戦争

 ロシアの独立系調査機関レバダ・センター(Levada Centre)の社会学者アレクセイ・レビンソン(Alexei Levinson)氏は、多くの「混乱した」ロシア人にとって、「星を読む」ことが現実を理解する方法になっていると説明する。

「世界の崩壊に直面したとき、自国の指導者ではなく、星に導いてほしい人もいる」

「現代における占星術は、一種の心理療法か新興宗教のようなものだ」

 ダラガンさんの生徒で50代のアンナ・マルクスさんは、「地球上の出来事の論理性」を星に求めているとAFPに明かした。「この紛争の責任はロシアだけにあると言われているが、第三国が真犯人なのは明らかだ」と訴え、米国が有罪だと証明するチャートを持っていると主張する。

 国境の向こう側ウクライナでは、星はもちろん、真逆を示している。

 ウクライナのメディアで人気の占星術師ブラド・ロス氏は、プーチン大統領は「重病」で「2023年3月以降は生き残れないだろう」と予言する。

「われわれの勝利は目前だ」と断言する別のウクライナ人占星術師の動画は、5月中旬の公開以降、再生回数が100万回を超えた。

 ウクライナの人々も必死だ。前線で戦っている愛する人が生き残れるか、進撃してくるロシア軍から逃げるべきか、しるしを求めて占星術に頼っている。

 ウクライナからスイスに逃れた元ミュージシャンの占星術師、オレナ・ウマネツさん(38)は、「ロシアは2023年3月に爆発する」と予言している。オンライン相談は1回100ドル(約1万3700円)。

 ウマネツさんの占いは、前線で戦う夫を心配するキーウのテレビ局プロデューサー、クリスティナさんに安心をもたらした。

 クリスティナさんは6月、「たった今、夫から電話があった」とウマネツさんに知らせてきた。

 その中でクリスティナさんは、「夫のために祈ることを勧めてくれてありがとう。責任を星と共有できてほっとした」とつづった。(c)AFP/Marina LAPENKOVA