【7月1日 AFP】米連邦最高裁判所は6月30日、石炭火力発電所からの温室効果ガス排出量について、米環境保護庁(EPA)には一律の制限を設ける権限はないとの判断を下した。EPAを通じて国際的な気候変動対策の目標達成を目指すジョー・バイデン(Joe Biden)政権にとって打撃となる。

 最高裁判事9人のうち、リベラル派3人はEPAの権限を認める判断を下したが、EPAの弱体化を進めたドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が指名した3人を含む保守派6人が反対に回った。

 保守派6判事は、石炭火力発電からの脱却のため二酸化炭素排出量に上限を設けることは地球温暖化対策として「賢明な解決策かもしれない」と認めつつも、EPAは全発電所に対して一律の制限を設ける権限を議会から与えられていないと指摘した。

 米国で消費される電力の20%近くは石炭火力由来。今回の判決は、2015年にバラク・オバマ(Barack Obama)政権から炭素排出量削減に向け厳しい制限を課された石炭火力発電産業や、政府の産業規制に反対する保守派にとって大きな勝利となった。(c)AFP