【6月15日 CNS】コロナ禍が続く中国で、週末や連休を農村の民宿で過ごすことがブームとなっている。制約のある都会を離れ、豊かな自然の中で心身を解放することが魅力となっている。

 民宿予約プラットフォーム「途家(Tujia)」によると、5月の労働節(メーデー)連休中、農村の民宿予約件数は前年同期比で20%増加。全体の予約件数の51%を占め、都市部の民宿予約件数を初めて上回った。

 家族経営による民宿というスタイルは日本が発祥といわれる。温かみのある小さな宿で過ごし、地域の魅力を体験する旅行は2010年ごろから広がっていった。また、大自然に囲まれた小さな集落で1人の女性が暮らす日常を描いた橋本愛(Ai Hashimoto)さん主演の日本映画『リトル・フォレスト(英題:Little Forest)』が中国で上映されると、多くの人の関心を引きつけた。

 広東省(Guangdong)出身で長年にわたり日本で過ごした陳国棟(Chen Guodong)さんは、自身の設計事務所を日本から貴州省(Guizhou)黎平県(Liping)に移し、地元に残る少数民族の伝統技術を用いた民宿を設計した。重慶市(Chongqing)南岸区(Nan'an)にある民宿は、宿泊客が畑で野菜や果物を収穫し、池で魚を釣り、それを食卓で食べるのが人気となっている。

 中国旅行研究院(China Tourism Academy)長江旅行研究基地の首席専門家・羅玆柏(Luo Zibo)氏は「新型コロナウイルスは人々の旅行スタイルや消費習慣を大きく変化させた。農村の民宿産業は大きな成長の余地がある」と分析。コロナ禍が続く中、省や自治区をまたいだ観光旅行は制限されている。また、有名な観光地は多くの人が詰めかけ、感染のリスクがある。こうした中、自分が住む都市から近い農村の民宿で寝泊まりするのは最適な「プチ旅行」として、今後も人気が高まることが予想される。(c)CNS/JCM/AFPBB News