【5月28日 CNS】中国国家統計局の発表によると2020年の国内人口は増加を続けたが、東北部と長江デルタ地帯の中核都市など少なくとも14都市で、戸籍人口の増加率がマイナスとなった。

 暫定の統計によるとマイナスとなった都市は、東北部では遼寧省(Liaoning)の瀋陽市(Shenyang)、葫芦島市(Huludao)、鞍山市(Anshan)、撫順市(Fushun)、黒竜江省(Heilongjiang)の黒河市(Heihe)。長江デルタ地帯では江蘇省(Jiangsu)の無錫市(Wuxi)、泰州市(Taizhou)、揚州市(Yangzhou)、塩城市(Yancheng)などもマイナスだった。

 このうち、東北部最大の瀋陽市は昨年末の戸籍人口が762万2000人。出生率6.68‰(パーミル)に対し死亡率は10.02‰で、自然人口増加率はマイナス3.34‰となった。葫芦島市はマイナス7.38‰、鞍山市はマイナス5.91‰、黒河市はマイナス2.9‰、撫順市はマイナス13.3‰だった。統計は一部都市のデータで、まだ発表されていない都市も多い。

 吉林大学(Jilin University)北東アジア研究所の衣保中(Yi Baozhong)教授によると、東北部では景気後退と雇用機会の減少により結婚・出産適齢期の若者の流出が相次いでいることが一因という。東北3省の人口は流出する一方で、2019年で黒竜江省の流出人口は17万9900人、吉林省(Jilin)は11万300人、遼寧省(Liaoning)は4万1100人に上る。

 また、衣教授は「東北部は都市化が早く進み、一人っ子政策も浸透した結果、若者が子どもを産む意欲が比較的低い」と指摘している。

 長江デルタ地帯では、江蘇省南部の無錫市と常州市は以前から自然増加率のマイナスが続いているが、経済的発展で流入人口が多く、登録人口ベースでは増加が続いている。2020年の無錫市の登録人口は6万1300人増加、常州市は1万6300人増加した。対照的に江蘇省北部の塩城市の登録人口は6万8600人減少した。

 自然増加率の伸び悩みは、人口の高齢化をもたらす。 2019年にGDP(域内総生産)で上位4省に入っている山東省、江蘇省、浙江省はすでに深刻な高齢化の段階に入っている。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News