【6月10日 CNS】多国籍自動車メーカーのポルシェ(Porsche)が半導体不足を理由にオプション装備を削減したことに、中国のポルシェオーナーから「サービスや補償内容が米国と異なる。ダブルスタンダードだ」と抗議の声が上がっている。

 ポルシェは中国で車を購入する顧客に「半導体が入荷したら、パワーステアリングのオプション装備を取り付ける」と説明。その後、オプション装備はかなり日数を要すると通知し、さらに方針を変えて装備の取り付けをやめると発表した。補償金として1人あたり2300元(約4万6182円)を支払うとした。

 しかし、ポルシェは北米市場では電動ステアリングのハードウエアと機械部品を車体に取り付けており、パーツを交換する際はオーナーに500ドル(約6万7005円)をキャッシュバックすると公式ホームページで説明。中国のオーナーから「基準が統一されておらず、差別されている」と疑念の声が上がった。

 こうした批判を受け、ポルシェは5月18日に声明を発表。以前にオプション装備の約束をしたオーナーには、パワーステアリングの自動調節機能サービスを無償で提供し、それができない場合は1万3800元(約27万7092円)の金券を渡すと表明した。また、影響を受けた顧客には車のメンテナンスサービスを1年間延長するとしている。

 中国自動車協会によると、中国国内の2021年の自動車販売台数は2627万5000台。全世界の販売台数の約3分の1を占め、13年連続で世界一となっている。また、中国はポルシェにとって7年連続で世界最大の市場となっている。ポルシェは2021年に世界で30万1915台の車両を納入し、このうち中国は9万5671台を占める。

 今回の問題でポルシェは「世界的な半導体不足」が原因と説明しているが、半導体不足に悩むのは他の自動車メーカーも同様で、そもそも補償内容を「ダブルスダンダード」にする理由にはならない。世界最大の自動車市場・中国で、ポルシェの対応は消費者の反発を招いている。(c)CNS/JCM/AFPBB News