■代償伴う教訓

 フランス軍特殊部隊のヘリ分遣隊を率いたパトリック・ブレトゥス(Patrick Brethous)氏は、攻撃ヘリの終えんと考える前に、ロシア、ウクライナ両軍の運用方法を検証する必要があるとの主張に賛同する。

 現在エアバス(Airbus)社のヘリコプター部門の軍事アドバイザーを務めるブレトゥス氏は「日中にロシア軍ヘリが高度約90メートルを飛行し、多くが撃墜されるのを目にしてきた」と述べ、「このようなヘリの運用は極めて危険だ」との認識を示した。ヘリは、夜間の作戦の方が効果的に運用でき、敵のミサイルを避けるために地上により近い高度で飛行すべきだという。

 アンロタン氏はまた、今回の紛争は「ヘリは単独で運用するものではないという根本的な原則をロシアに再認識させる、代償を伴う教訓」になったとし、ヘリは他の種類の軍事力と組み合わせて運用されるべきだと強調した。軍事専門家はこれを「諸兵科連合」と呼ぶ。航空機や装甲車両、砲兵、歩兵部隊が連携し、相互補完的な役割を果たす戦闘教義だ。

 さらに、無人攻撃機の活躍も論争に影響を与えている。前出のトゥサ氏は、多くの任務がより安価な無人機によって遂行可能になっており、攻撃兵器としてのヘリの将来はますます疑わしくなっているとの見方を示す。

 一方、アンロタン氏は偵察など無人機はある程度の任務を遂行できるものの、攻撃ヘリの火力には及ばず、あくまでも補完的な役割しか担えないと主張する。

 具体的には、ウクライナ軍が運用するトルコの無人攻撃機「バイラクタル(Bayraktar)」は4発のミサイルを搭載できる。これに対して、ロシアのヘリ「カモフ52型(Ka52)」は、12発のミサイルのほか、多数のロケット弾を搭載可能であり、「空飛ぶ砲艦」としての戦闘力は揺らいでいないと、アンロタン氏はみている。(c)AFP/Mathieu RABECHAULT