【6月25日 AFP】養蜂を手掛けているイスラエルのキブツ(農業共同体)で、最先端の人工知能(AI)システムを装備した巣箱が導入された。重要な受粉媒介者ハナバチを長生きさせるように設定されたAIシステムだ。

「ここには200万匹のハナバチがいます」。イスラエル北部ガリラヤ(Galilee)地方にあるキブツ「ベイトヘメク(Beit Haemek)」。広さ12平方メートルのコンテナの中で、養蜂家のシュロムキ・フランキン(Shlomki Frankin)さん(41)はAFPに語った。

 この巣箱は多目的ロボットの機能を備えており、ハチの監視や世話から生息環境の調整まで、あらゆることを実行できるという。

 新興企業のビーワイズ(Beewise)は、農薬や害虫などの影響で急激な個体数減少に見舞われているハナバチの仲間を生かそうとする取り組みの中でAIの活用を思い付いた。

■ロボ巣箱

 ビーワイズの運営責任者を務めるネタリ・ハラリ(Netaly Harari)氏は「このロボ巣箱はセンサーを備えており、巣枠の中で起きていることを把握できます」と話す。

「人工知能(AI)のおかげで、ハチが何を必要としているかをソフトウエアが認識します」

 太陽電池で稼働するロボ巣箱は糖や水、薬剤を自動で提供する。

 問題が発生すると、アプリを通じて養蜂家にアラートが通知され、コンピューター経由で離れた場所からでも対応できる。

 ハラリ氏によると、ロボ巣箱は温度調節や害虫駆除も可能で、組み込み型の遠心分離機で蜂蜜を自動で抽出することもできる。

「人工知能によって作られた世界初の蜂蜜です」とハラリ氏は熱く語った。

 イスラエル・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)のレホボト(Rehovot)キャンパスにあるハナバチ研究センターのシャロニ・シャフィール(Sharoni Shafir)所長によると、ビーワイズの技術は、拡大する脅威に直面しているハナバチのコロニーを守るのに役立ちそうだ。

 シャフィール氏は「問題が起きていることに養蜂家が気付くのに数か月かかることもある」が、「このロボ巣箱があれば、リアルタイムで問題に対処し、ハチの致死率を抑えることができる」と語った。

 2019年の研究によると、世界各地でハナバチの6種に1種が局地的な絶滅に見舞われている。その主な原因は、生息地の減少と殺虫剤の使用と考えられている。(c)AFP/Alexandra Vardi