【5月10日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は9日、ウクライナなどが欧州連合(EU)に加盟するには「数十年」かかる可能性があるとの見方を示し、代わりにEUの枠を超え、英国などの加盟も想定した新たな政治組織を設立することを提唱した。

 マクロン氏は同日、ドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相と会談するため同国首都ベルリンを訪問した際にこの案に言及。これについてショルツ氏は、「非常に興味深い提案」であり、マクロン氏と議論できたことを「とてもうれしく思う」と述べた。

 ウクライナのEU加盟申請をめぐっては、欧州委員会(European Commission)が来月にも委員会としての意見表明を行うとの方針を示している。これは既存の加盟国がウクライナの申請を検討するのに先立つ重要な一歩となる。

 だがマクロン氏は、「ウクライナに加盟国候補という地位を与えるために手続きを加速させることはできても、われわれの規定や基準を考えると、ウクライナが実際にEUに加盟するには数十年かかるだろう」と指摘し、EUの枠組みを超えた組織の新設を検討した方がより効率的かもしれないとの考えを示した。

 また、ウクライナの他、モルドバ、ジョージアなどEU加盟を希望する国々を欧州内に受け入れる必要性は喫緊の課題だとして、英国の加盟も想定した新たな「欧州政治共同体」の設立を呼び掛けた。

 さらに、ボスニア・ヘルツェゴビナをはじめとする西バルカン諸国や、数十年前からEU加盟を検討している国々がこの新組織への加盟を検討する可能性もあると述べた。(c)AFP