【5月9日 CGTN Japanese】中国科学技術大学の研究チームはこのほど、中国が自主開発した量子科学実験衛星「墨子号(Mozi)」を利用して、地球上の1200キロ離れた2つの地点の間における量子状態の遠隔転送を初めて実現させ、グローバル量子情報処理と量子通信ネットワークの構築に向けて重要な一歩を踏み出しました。この成果は、物理学の専門誌として最も権威がある学術誌「フィジカル・レビュー」に発表されました。

 遠距離の量子状態転送は通常、量子テレポーテーションを利用して実現でき、量子通信ネットワークを構築するための重要なルートの一つであり、さまざまな量子情報処理任務の実現に必要な要素でもあります。遠距離量子もつれの配布の助けを借りて、量子状態は、測量後に再構築することにより遠距離の転送を実現でき、しかも理論上、転送距離は無限遠だということです。しかし、実践において、量子もつれの配布の距離と質は、チャンネルの損耗や量子デコヒーレンスといった要素の影響を受けることになるため、テレポーテーションの距離の限界をいかに超えるかが、この分野における重要な研究目標の一つとなっています。

 中国科学技術大学の研究チームは、光学一体化の接着技術を利用し、量子テレポーテーションプランを結合して、中国南西部の雲南省(Yunnan)麗江市(Lijiang)と北西部の青海省(Qinghai)海西モンゴル族チベット族自治州デリンハ市との間において、遠隔量子状態転送の検証を終えました。1200キロの距離は、地上における量子状態転送の新記録となります。(c)CGTN Japanese/AFPBB News