【4月29日 AFP】西側諸国は、侵攻したロシア軍と戦うウクライナに多くの大型兵器の供与を確約している。ただ専門家は、戦争の長期化により、軍事装備品の維持管理や弾薬の供給を含めた複雑な兵たんが課題になる可能性があると指摘している。

 既に大型兵器を供与しているフランスや英国、米国、チェコに加えて、ドイツ政府も26日、ウクライナに自走式対空砲「ゲパルト(Gepard)」を供与すると表明した。

 フランス国際関係研究所(IFRI)のレオ・ペリアペニエ(Leo Peria-Peigne)氏は、「自走式砲や戦車、装甲車はウクライナ軍に相当の勢いを与えることができる上、2か月間の戦闘で損耗した一定の能力の再構築も可能だ」と分析する。

 専門家は、防衛用の軍需品をウクライナに送るルートが存在していることから、追加の兵器輸送も円滑に進む可能性が高いとみている。

 ウクライナの支援国はほとんどのケースで、米国製主力戦車「エイブラムス(Abrams)」のように数か月に及ぶ訓練や踏み込んだ兵たん支援が必要な複雑な兵器システムを送るのを避けている。

 例えば、チェコが供与した旧ソ連時代に設計された装甲車は、ウクライナ軍のものと酷似しており、数時間の訓練で十分だ。

 フランスが供与する自走砲「カエサル(Caesar)」について、戦車や装甲車を専門とする軍事コンサルタントのマルク・シャシヤン(Marc Chassillan)氏は「扱うのが容易」と評価している。

 ゲパルトは、レーダー誘導式の兵器システムを持ち、扱いやすさという面では難点がある。シャシヤン氏によると、恐らくは数週間の訓練が必要になるという。

 ドイツ陸軍の元上級将校、ハンス・ローター・ドムレーゼ(Hans Lothar Domroese)氏は先週、西ドイツ放送(WDR)対し、ドイツ政府が選択肢の一つとして供与を検討している歩兵戦闘車「マルダー(Marder)」について、2014年から東部で親ロシア派と戦うウクライナ軍にとっては運用しやすいだろうと語った。

 大型兵器がウクライナに供与され、訓練を終えた乗員が存在してもなお、複雑なシステムを持つ車両や装置は、故障や戦闘により損傷すれば、維持管理やスペアパーツを提供する一連の兵たん支援を要する。

 前出のペリアペニエ氏は、ウクライナが有する「軍用車両や重工業におけるインフラやノウハウ」を高く評価し、「複雑な課題だが、ウクライナには潜在的な技術力があり、それがない他国に比べれば問題は小さいかもしれない」と述べた。

 同氏は「仮に欧州の生産者とウクライナ軍が問題なく協力できれば、(大型兵器の)維持管理は特段の支障もなく進むだろう」と強調する。