【4月23日 AFP】ウクライナ政府高官は22日、仏政府が筆頭株主である防衛・電子機器大手タレス(Thales)が欧州連合(EU)の対ロ制裁に違反して輸出した軍装備品でウクライナ市民が殺害されたと非難した。タレス側は強く否定している。

 ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問はツイッター(Twitter)に、首都キーウ郊外で「ある一家が避難しようとしていたところをロシア軍に殺害された」と投稿。「2015年に制裁をかいくぐって販売された仏製兵器で殺害されたと証明されている」と続けている。

 ポドリャク氏はウクライナ人ブロガーのパウロ・カシュチュク(Pavlo Kashchuk)さんが投稿した動画を根拠に挙げた。

 カシュチュクさんは、ウクライナ側がロシア軍によって大勢の市民が虐殺されたとしているキーウ近郊ブチャ(Bucha)で見つかった車両を調査した。女性の遺体が見つかった車両は、装甲車からの遠距離砲撃で穴だらけになっていたとして、「練度の低いロシア兵に、ソ連崩壊後の旧式装備でこれほど正確な砲撃ができるだろうか」と疑問を呈し、答えは近くの町ボルゼル(Vorzel)で見つかったと述べている。

 カシュチュクさんによると、ウクライナ軍がボルゼルで奪取したロシア軍の装甲車「BMD4」4台には、タレスがロシアに販売した高度な射撃統制装置が搭載されていた。放棄されたロシア軍の戦車から回収されたとする熱感知カメラには、タレスのロゴと06/16という日付、「ロシア製」の文字が記されており、タレスの部品を使ってロシアで組み立てられたものだという。

 タレスはAFPの取材に対し、2014年のロシアによるクリミア(Crimea)半島併合後にEUが発動した対ロ制裁には違反していないと主張。「2014年以降、ロシアとは防衛装備品の輸出契約を結んでおらず、ウクライナ侵攻が始まってからはロシアには何も納入していない」とし、ロシアでの事業停止も決定したと説明した。(c)AFP