【4月13日 AFP】オーストリア、ハンガリーなど中欧5か国は12日、チェコの首都プラハ近郊で外相会合を開き、ロシア産エネルギーへの依存からの脱却をめぐり協議した。しかし、脱ロシア依存への対応は積極派と消極派に分かれる形となった。

 原油・天然ガスなど炭化水素はロシアの主要輸出品で、最大の仕向地は欧州連合(EU)となっている。2021年時点のEU全体の輸入に占めるロシア産の割合は石炭が45%、原油が25%、天然ガスは45%だった。

 こうしたことから、EUにとってエネルギー調達先の多角化は喫緊の課題となっている。

 ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル(Peter Szijjarto)外務貿易相は会合後、「ハンガリーにはエネルギー安全保障という越えてはならない一線が明確にある」と述べた。

 シーヤールトー氏は、ハンガリーはロシアのウクライナ侵攻を受け、EUの対ロ制裁を全て支持してきたが、原油・天然ガスに関する制裁には「参加できない」と明言。「わが国は以前から(エネルギー調達先の)多角化に積極的に取り組んでおり、今後も継続する予定だが、安定的なエネルギーの調達は常に保証する方針だ」と語った。

 スロバキアのイバン・コルチョク(Ivan Korcok)外務・欧州問題相は、ロシアからの原油・天然ガスの輸入を停止する用意はあるとしながらも、実現には時間がかかると強調した。

 コルチョク氏は「(ロシアへのエネルギー依存は)絶ちたい。とはいえ、一朝一夕にはいかないのが現実だ」と話した。

 7月からEU議長国を務めるチェコのヤン・リパフスキー(Jan Lipavsky)外相は「ロシアがEUとの貿易で得る収入を最小化しなければならない」として、エネルギー禁輸に向けた議論を推進させる考えを示した。

 チェコの国営電力企業CEZはこの日、国内2か所の原子力発電所用の核燃料の調達先を、2024年以降はロシアから米仏両国に切り替える方針を発表した。(c)AFP