【4月11日 AFP】ドイツ日刊紙ウェルト(Die Welt)は11日、ロシア政府系テレビ局のニュース番組に乱入しウクライナ侵攻に抗議したマリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)さん(43)を、記者として採用したと発表した。

 同紙によると、オフシャンニコワさんは「ウェルトのフリーランス特派員となり、ウクライナやロシアなどで取材に当たる」という。記事を執筆するほか、同紙のテレビニュースチャンネルにも定期的に出演する予定。

 ロシアテレビ局「第1チャンネル(Channel One)」の編集者だったオフシャンニコワさんは、同局の夜のニュース番組「ブレーミャ(Vremya)」に英語で「戦争反対」と書かれた紙を持って乱入した。ロシア国営メディアは厳しい統制下にあるため、こうした出来事が起こるのは極めてまれ。

 オフシャンニコワさんは身柄を拘束され、14時間にわたり取り調べを受けた後、3万ルーブル(現レートで約4万6000円)の罰金を科された後に釈放された。今後さらなる刑事責任を問われ、最近成立した厳しい報道規制法の下で何年も収監される可能性もある。

 オフシャンニコワさんは辞表を提出したと発表したものの、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が受け入れを申し出ていた亡命については辞退し、ロシアにとどまる意向を示していた。

 ウェルト編集長は「国から弾圧を受ける恐れがあるにもかかわらず、ジャーナリストの最も重要な使命を守った」オフシャンニコワさんの「決定的瞬間における勇気」を称賛した。

 オフシャンニコワさんは、ウェルト紙について「今ウクライナにいる勇敢な人々が強固に守ろうとしているもの、つまり自由を体現している」との見方を示し、「この自由のために立ち上がることが、私のジャーナリストとしての責務だと思っている」と述べた。(c)AFP