【3月30日 東方新報】米ハワイ(Hawaii)とほぼ同緯度にあり、「中国のハワイ」と称される中国南部の海南島(Hainan Island)。年間平均気温24度の温暖な南の島はいま、マリンスポーツの聖地として人気が高まっている。

 海南島の三亜市(Sanya)では、春節(旧正月、Lunar New Year)連休中、毎日700隻ものプレジャーボートが出港。大海原を白いボートが駆け巡った。最近ブームになっているのがウェイクサーフィン。ボートが走った後にできる波を利用し、若者らがサーフィンに熱中している。

 ヨットで航海を楽しむ人も増加。三亜ヨットセーリング協会によると、2021年末で三亜市の登録ヨット数は前年比52.1%増の945隻。ヨットの出港回数は年間約16万回に及ぶ。

 海中の世界を楽しむスキューバダイビング熱も広がっている。1280元(約2万5000円)の体験プログラム「ディスカバー・スキューバ・ダイビング」は、2021年に1万8000人以上が体験。世界最大の指導機関・ダイビングインストラクター専門職協会(PADI)のドリュー・リチャードソン(Drew Richardson)CEOから「世界ナンバーワンの売り上げだ」と祝電を受けた。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)から彼女と訪れた男性は「昨日はサーフィンをして、今日はスキューバダイビング。明日はゆっくり海釣りをするつもり。帰る前にはヘリコプター遊覧もしたいね」と話す。三亜市の観光担当者は「若い観光客は年々増え続け、新しい観光プログラムをどんどん体験してくれる」とホクホク顔で語る。

 経済成長著しい中国では、有名な観光地を訪れて満足する段階から、現地ならではの体験ができる「コト消費」を重視する流れとなっている。コロナ禍で海外旅行ができない中、季節にかかわらず南国気分でマリンスポーツが楽しめる海南島に次々と観光客が押し寄せている。

「コト消費」と同時に「モノ消費」を楽しめるのも海南島の魅力。政府の離島消費振興策で、海南島では中国の市民も年間10万元(約193万円)まで免税商品を購入できる。マリンスポーツをぜいたくに楽しんだ後、化粧品や電子製品、健康食品などを割安で購入して帰っていく。

 海南島は、コロナ禍の閉塞(へいそく)感を吹き飛ばす「爆遊び」と「爆買い」のスポットとなっている。(c)東方新報/AFPBB News