■「何もしなかったら…」

 船外機付きのボートを見るたびに、メンチャカさんはののしり言葉を浴びせる。

「運河はそんなに深くない。せいぜい50センチです」とメンチャカさん。「40人乗りのエンジン付きの船は騒音源になるし、オイルやガソリンで湿地が汚染されます」

 広大な運河から視界に入るのは、市の外れにそびえる標高3900メートルのアフスコ山(Mount Ajusco)だ。

 正午になり、出発した桟橋に戻ったカヤックは、ごみで満載だ。メンチャカさんは自分の努力が、未来の世代へこの土地を残すために役立っていると信じている。

「運河は通り道です」とメンチャカさん。「だから、ごみを見かけたら回収します。後から来る人が、きれいな道を通れるように」

「もしも地球のために何もしなかったら、どうなることか…」と言ってメンチャカさんは一瞬沈黙し、どうしようもないというふうに両手を広げた。「そうなったら、私たちが楽しめるものは大して残りません」 (c)AFP/Samir Tounsi