中国でパンダなど希少種が増加、生態系保護政策が軌道に
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【3月21日 東方新報】中国でパンダや「孫悟空」のモデルとされるキンシコウなどの希少種の頭数が増加傾向にある。中国政府は近年、絶滅の恐れがある野生動植物の保護に力を入れており、その成果が表れてきている。
「世界野生生物の日」の3月3日、中国国家林業・草原局は生態系保護活動の現状を発表。パンダ、アジアゾウ、海南テナガザル、カンムリテナガザル、ヒョウ、中華センザンコウ、雲南キンシコウ、貴州キンシコウ、トラ、トキ、マクジャク、ヨツユビリクガメの主要種12種の保護を強化しいる。
パンダは1970年代~80年代の1114頭から1864頭に増え、世界での飼育数も673頭に達している。アジアゾウは1985年の180頭から300頭前後に増加。海南テナガザルは、1980年の一つの個体群・10頭未満から五つの個体群・35頭に回復した。
1981年の発見時は7羽だけだったトキは、5000羽以上に増えた。東北ヒョウ・トラ国家公園内の野生のアムールトラの数は50頭以上、アムールヒョウは60頭以上に。カンムリテナガザルは約700頭、野生のマクジャクは約550羽、雲南キンシコウは3800頭以上となった。
中国では、急激な経済成長に伴って環境破壊や公害が深刻となり、希少な野生動植物も絶滅の恐れが出てきた。近年は習近平(Xi Jinping)国家主席が「緑水青山就是金山銀山(澄んだ水や美しい山そのものが金山、銀山である)」と提唱。国を挙げて環境保護に取り組み、野生動植物を守る生態系保護にも取り組んでいる。
昨年はパンダやアムールトラ、アムールヒョウ、海南熱帯雨林などを保護するため中国初の国立公園を5か所設置。生息域の復元・拡大を進めているほか、高速道路などで分断されてしまった個体群の間を自然回廊で結び、繁殖を支援する工夫がされている。
中国各地で地域特有の希少種を積極的に保護する取り組みが、政府の方針を支えている。青海省(Qinghai)は世界自然保護基金(WWF)と協力して黄河源流のユキヒョウの保護活動を展開。広東省(Guangdong)はタンチョウヅル、ヘラシギ、ラン科の紫紋兜蘭、丹霞蘭など約20種の動植物の保護をしている。浙江省(Zhejiang)は「植物界のパンダ」といわれるモミの希少種・百山祖冷杉や、「神話の鳥」と称されるヒガシシナアジサシなどの保護に努めている。
国家林業・草原局の担当者は「野生動物の生息地の保護と繁殖支援、野生植物の植え替え保護や野生復帰などのプロジェクトを進め、植物類と陸地の生態系の90%、重点保護野生動物群の85%を効果的に保護している」と説明。希少な野生動植物の「V字回復」が進んでいる。(c)東方新報/AFPBB News