【3月13日 AFP】戦禍の首都キエフから列車で逃れた孤児93人は、ウクライナ最西端の吹きさらしの地にある廃校舎にたどり着いた。

 キエフから約800キロ、ハンガリー国境に近いプレフレスチヤ(Perekhrestya)村の廃校に置かれた仮設児童養護施設だ。孤児の一人、ミコラ・トポロフ(Mykola Topolov)さん(17)は「ようやく安心できました。落ち着いています」と話した。

 6~21歳の孤児93人は、ロシアとの衝突の前線となっている東部ドネツク(Donetsk)州の出身で、ロシア軍がウクライナに侵攻した先月24日の時点では、キエフ近郊のアルテック(Artek)にある児童施設に移っていた。

 アルテックの所長、ガリーナ・イワゼンコ(Galyna Ivazenko)さん(57)は、「ドネツクでの緊張から離れ、しばしの休息を取っていた時に侵攻が始まりました」と述べる。

 ドネツク州北部から来たというミコラさんは「到着と同時に爆発の音が2回して、ロシアが攻撃してきたことが分かりました」と説明した。

 プレフレスチヤの施設で所長を務めるミハイロ・グリンカ(Mykhailo Glynka)さん(37)は「人里離れていて安全な場所なので、政府は子どもたちをここに移すことにしたのでしょう」と説明する。

 所狭しとベッドが並んだ部屋に座ってグリンカさんは「ウクライナが戦争で勝利したら、地元に戻って国の再建に尽くしたいです」とAFPに話した。

 プレフレスチヤの養護施設に到着したグループには、今回の侵攻で孤児となった人はいなかった。(c)AFP/Peter MURPHY / Balazs WIZNER