【2月27日 東方新報】上海市・普陀区(Putuo)で2月8日未明、5階建て住宅の2階の部屋から出火し、室内の住人3人が死亡した。消防によると、電動自転車のリチウム電池バッテリーが発火したのが原因。中国では電動自転車の保有台数は3億台を超え、繰り返し「自宅での充電は危険」と警告されているが、同様の被害が後を絶たない。

 統計によると、中国で2021年に起きた電動自転車の火災は1万8000件に及び、57人が死亡している。電動自転車本体や取り外したバッテリーを室内で充電して床に就き、就寝中にバッテリー不良や過充電で火災が発生する事故が多い。実験によると、狭い室内だとバッテリーが発火して30秒で炎や有毒ガスにより死亡する危険性があるという。昨年9月には北京市の高層住宅3階で電動自転車のバッテリーが発火し、5階の住人が巻き添えとなり5人が死亡する火事が起きている。

 こうした火災を防ぐために、中国では高層住宅に電動自転車を持ち込むことや充電を禁止する消防安全管理規定がある。しかし、個人で屋外に充電施設を持つ市民は少ないし、電動自転車を路上に置いておくとロックをしていても盗難に遭いやすい。電動自転車は2000元(約3万6505円)程度で購入できるが、価格の半分はバッテリー代で、サドルを壊してバッテリーだけ盗む手口も多い。盗難防止のためにも、電動自転車を自宅に持ち込むしかない事情もある。

 このため全国各地の地方政府は近年、高層住宅を新設や改築をする際、低料金で電動自転車の充電ができる駐輪場を敷地内に設置するよう奨励。数台ごとにコンクリート壁で区切ることで火災が起きた際の延焼を防ぎ、屋根の自動消火装置が作動するといった「スマート駐輪場」が増えている。

 北京市は最近、新たな方針を打ち出した。今年の年末までに住宅地には原則的に充電設備を設置することや、メーカーや小売店が賠償保険制度を充実させ、利用者も賠償保険に加入することを求めている。また、スピードを上げるため違法改造したバッテリーからの出火が多いことから、違法改造の取り締まりを強化する。(c)東方新報/AFPBB News