【2月16日 東方新報】北京冬季五輪が行われている中国で、パンダをモチーフにした公式マスコット「氷墩墩(Bing Dwen Dwen)」のブームが起きている。

 冰墩墩は、中国北方の冬の風物詩「氷糖葫芦(Bingtanghulu)」と呼ばれる果物菓子が原案。甘酸っぱく煮た赤いサンザシを氷砂糖で包み、竹串に刺したものだ。日本のリンゴアメを小さくして串団子にしたようイメージ。この氷糖葫芦に中国のシンボル・パンダを組み合わせた、氷墩墩が誕生した。

 2008年北京夏季五輪の時は、五輪史上最多となる5体の公式マスコット「福娃(Fu Wa)」が作られ、五輪開幕前からグッズは人気だった。対照的に今回は長引くコロナ禍の影響で冬季五輪への関心がいまひとつ高まらず、氷墩墩の注目度も低かった。

 ところが、五輪開幕前に取材で北京入りした日本テレビ(Nippon TV)の辻岡義堂(Gido Tsujioka)アナウンサーが、氷墩墩のグッズを買い集めて番組で紹介。氷墩墩の魅力をアピールした。この映像が「逆輸入」のように中国で拡散し、中国版ツイッター「微博(ウェイボー、Weibo)」で異例のトレンド入り。2月2日以降、「日本人記者が氷墩墩を買い過ぎる」というハッシュタグの閲覧回数が5億回を超えた。

 そして2月4日に冬季五輪が開幕して以降、さらに氷墩墩が注目を集めるように。屋外の気候が激しく変わる冬季五輪では、競技後にメダルを授与せず、後日に別会場で授与することが一般的。北京冬季五輪では競技後のフラワーセレモニーでメダルの代わりに氷墩墩の人形が手渡されている。

 米CNNは「北京冬季五輪で公式マスコットが注目」と報道。米国人の父と中国人の母を持ち、モデルとしても活躍する女子フリースタイルスキー中国代表の谷愛凌(Eileen Gu)選手が金メダルを獲得し、冰墩墩のマスコットを高々と掲げる姿を伝えた。米NBCニュース(NBC News)も特集を組んで「いたるところに氷墩墩の姿がある」と報じた。日本でも、2月5日のフリースタイル男子モーグルで堀島行真(Ikuma Horishima)選手が日本人第1号の銅メダルを獲得し、表彰台で氷墩墩を受け取ると、ネット上で「あのかわいいパンダは何?」と話題になった。

 氷墩墩のグッズを求める人々は日に日に増え、北京の繁華街・王府井(Wangfujing)にある北京冬季五輪公式ショップには開店前の早朝から行列ができるようになった。中国メディアが「氷墩墩のデザインを担当した責任者の息子もグッズを入手できない」と報じるほどの人気ぶり。インターネットでも国内外から氷墩墩のグッズを求める動きが活発になっている。(c)東方新報/AFPBB News