【2月21日 AFP】20日に閉幕した北京冬季五輪では、多くの涙が流れ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の制限がある中で観客が選手を後押しし、アイスホッケーの試合では選手がマスクを着けて試合に臨む光景も見られた。

 ここでは、AFPスポーツが選んだ北京冬季五輪の記憶に残る場面を五つ取りあげる。

■ワリエワのドーピング騒動と失意の4位

 ロシア五輪委員会(ROC)の15歳、カミラ・ワリエワ(Kamila Valieva)のフィギュアスケート女子シングル・フリースケーティング(FS)は、五輪史上最も見ていてつらい演技の一つとして伝えられるだろう。ワリエワはこのフリーで完全に崩れ、4位に終わった。

 開幕前に金メダル候補と目されていたワリエワだが、大会期間中に以前の検査でのドーピング違反が発覚した。出場継続の許可は出たが、世界中から注目が集まる中で負担が大きくなりすぎた。

 演技中には何度も転倒し、客席からは息をのむ音と悲鳴が漏れた。演技を終えると、ワリエワは顔を手で覆って泣き崩れた。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、それを見て「非常に心配になった」と話している。

■ホワイトの涙の現役引退

 スノーボード男子のショーン・ホワイト(Shaun White、米国)は、現役最後と位置づけて臨んだ五輪でメダルにあと一歩届かなかったが、「つらくはない。とにかくすごく幸せ」だと話した。

 五輪で三つの金メダルを獲得している35歳のレジェンドは、有終の美を飾るメダルを目指したハーフパイプ決勝で4位に終わった。最終3本目で転倒してフィニッシュエリアへ向かう際には落ち込んだ様子で、目に涙を浮かべていたが、それでも最後は笑顔を見せ、拍手をする観客に手を振って応えた。

 再び目に涙をためながら、ホワイトは「ありがとう、スノーボード。人生をかけて愛した競技」と話した。

■シフリンの忘れてしまいたい五輪

 アルペンスキー女子のスターであるミカエラ・シフリン(Mikaela Shiffrin、米国)は、今大会の出場選手では有数の大物だったが、出場したすべての種目でメダル獲得を逃し、忘れてしまいたい五輪を過ごした。

 最初に出場した大回転でまさかの途中棄権に終わると、金メダル有力とみられていた2日後の回転でも、同じように序盤のミスで無念の棄権。シフリンはコースの端でしゃがみ込み、体育座りでうなだれた。

 レース後に「ひどい気分」だと話したシフリンだが、悪夢はその後も激しくなっていくばかりだった。