【1月26日 CNS】中国政府はこのほど、首都・北京市に国家植物園を設立することを承認した。植物の生息域外保全を強化し、生物多様性を守る取り組みを促進する。

 急激な経済成長と社会の発展に伴い多くの野生植物が生息環境を脅かされ、絶滅の危機にひんしている。そのため本来の生息域外での保全が重要となり、世界では約2500か所の植物園で約8万種の植物が保全されている。

 北京の国家植物園の面積は約600ヘクタール。北京市植物園と中国科学院(Chinese Academy of Sciences)植物研究所の既存エリアを利用し、南北2つの園区を統合して整備する。北京市植物園を基とする北園は植物の応用研究、絶滅危惧種の保存、園芸植物の研究と展示などが中心。中国科学院植物研究所の南園は植物の基礎研究や生物多様性の保全、植物資源利用の技術開発に力を注ぐ。

 国家植物園は1万5000種の植物を保護し、巨大な温室を備える。植物の標本は280万種類以上。中国で最も優れた植物研究チームが国家レベルの研究に努め、国際的な植物学の総合的研究機関となる。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年10月12日、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の首脳サミットで基調講演を行い、国内の貴重な生態系や動植物を保護するため三江源国家公園、ジャイアントパンダ国家公園、東北虎(アムールトラ)・東北虎・東北ヒョウ国家公園、海南熱帯雨林国家公園、武夷山国家公園という5つの国家公園を設立したことを発表した。保護エリアは計23万平方キロに及び、中国の陸地で保護対象としている野生動植物の30%近くをカバーしている。同時に、北京市や広州市(Guangzhou)などで国家植物園ネットワークを構築することも発表した。

 中国には3万6000種強の高等植物が生息し、世界で最も植物の多様性が豊富な国の一つ。国内に200か所近くの植物園があり、約2万3000種の植物を保護している。植物園では在来種の保護を進めると同時に、植物を資源として利用し、持続可能な開発にも力を入れていく。(c)CNS/JCM/AFPBB News