【12月14日 CNS】朝6時、北京市に住む蘭鴿(Lan Ge)さんの目覚まし時計が鳴った。音を消して、電話をかける。相手から少し寝ぼけた声で返事を聞き、電話を切る。これで「お客さんを起こす」任務の完了だ。

 中国では近年、「ヘルプ経済」と呼ばれるサービスが徐々に広まっている。すでに定着している食事や書類のデリバリーなどに加えて、依頼主の個別の希望に対応した一対一のサービスが生まれている。多くの人々の暮らしに便利さを与えていると同時に、「新世代農民工」と呼ばれる若い出稼ぎ労働者に新しい働き方を提供している。

 山西省(Shanxi)の農村出身の蘭さんは、北京に上京して数年が経過。彼女は定時の仕事に加え、インターネットのプラットホームを通じて個人の仕事も手がける。サイトでは「朝起きづらい皆さんに、質の高いモーニングコールや呼びかけのサービスを提供いたします。皆さんが幸せな一日を始められますように!」とPR。1回のサービスの料金は9.99元(約178円)だ。

「私は普段、午前1時に就寝しています。モーニングコールの仕事を受けると目覚まし時計をセットして、相手がスムーズに電話に出たら再び眠り、それから仕事に出かけます」。相手が電話に出ない場合は、3分ごとに最大10回まで電話をかける。蘭さんはモーニングコール以外に運転代行や動画の編集の仕事も引き受ける。「法律違反以外はすべて引き受ける」が彼女の仕事の原則だ。

 インターネットのプラットホームで「帮忙(ヘルプ)」と検索すると、「猫のエサやり」「犬の散歩」「インターネットで代行購入」など幅広いサービスが表示される。「恋人とけんかして相手がスマホをブロックしてしまった場合、代わりに謝罪の意を伝える」というサービスまである。「すき間時間」を柔軟に使える「ヘルプ経済」は多くの人々を引き付けている。

 1991年生まれの蘭さんは、自分のことを「社交恐怖症」という。会社と家の間を往復するだけの日々だったが、ヘルプサービスを通じて社会と交流する窓口を見つけたという。「多くの人と出会い、いろんなライフスタイルを知りました。同じ物事について異なる視点の意見を聞くこともできる。家族や同僚に話しづらい話は知らない人にしゃべると気楽になります」。オンライン手続きの代行サービス、展覧会や買い物の同行などを通じて、蘭さんは社会とのつながりを感じる。「人を手伝う過程が、自分を『癒やす』プロセスにもなっています」

 中南財経政法大学(Zhongnan University of Economics and Law)デジタル経済研究所の盤和林(Pan Helin)所長は「すき間時間を活用するヘルプ経済は従来の短期アルバイトより柔軟性があり、地方から都会に来た若い労働者の就業機会と収入増に役立っている。新しい交流もある程度生まれ、都会の暮らしに溶け込むことにもつながっている」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News