【11月15日 CNS】英国の経済コンサルタント、ルパート・フーゲワーフ(Rupert Hoogewerf)氏が運営する中国の民間シンクタンク「胡潤研究院(Hurun Research Institute)」は、毎年恒例の「胡潤世界富豪ランキング」を発表した。1999年の開始以来、23回目。中国の富豪で最高額は飲料大手「農夫山泉(Nongfu Spring)」を創業した鍾睒睒(Zhong Shanshan)氏の3900億元(約6兆9560億円)で、初めて中国のトップに立った。

 中国長者番付2位は、ショート動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」を運営する「字節跳動(ByteDance、バイトダンス)」創業者、張一鳴(Zhang Yiming)氏の3400億元(約6兆642億円)。資産を2300億元(約4兆1023億円)増やし、上位に躍り出た。3位は、車載電池大手「寧徳時代新能源科技(CATL)」を創業した曽毓群(Zeng Yuqun)氏がランクインした。昨年トップだったIT大手「阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)」創業者・馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏は5位、2位だった「騰訊(テンセント、Tencent)」創業者・馬化騰(Pony Ma)氏は4位に下がった。

 トップ10には、自動車大手「長城汽車(Great Wall Motor)」の魏建軍(Wei Jianjun)会長と韓雪娟(Han Xuejuan)夫妻、不動産大手「長江実業(CK Hutchison Holdings)」創業者の李嘉誠(Li Ka-shing)家族も入っている。今年はトップ10に不動産業界からは1人もランクインしなかった。

 鍾睒睒氏が初めて中国一の富豪になったことについてフーゲワーフ氏は「IT全盛の21世紀に、ミネラルウオーターを販売する鍾睒睒氏がトップに立ったことは多くの人を驚かせることだ」とコメントしている。

 今年で67歳の鍾睒睒氏は農夫山泉に加え、子宮頸(けい)がんワクチンメーカーの万泰生物(Beijing Wantai Biological Pharmacy)も経営している。万泰生物の市場価値は昨年の同時期に比べて40%以上増加し、農夫山泉も約10%増加している。今年上半期、万泰生物は前年同期比200%増の7億元(約125億円)強の利益を達成し、農夫山泉も40%増の40億元(約713億円)に達している。両社の時価総額は5000億元(約8兆9180億円)を超えている。

 ランキングは9月15日時点で20億元(約357億円)以上の個人資産を保有する企業家が対象。今年は「90後(1990年代生まれ世代)」から28人がランクインし、昨年より1人多かった。ドリンクチェーンを展開する「喜茶(HEYTEA)」を創業した30歳の聶云宸(Nie Yunchen)氏は、2020年から資産を倍増させて100億元(約1784億円)になった。Manner Coffee創業者の28歳の陸剣霞(Lu Jianxia)氏と韓玉龍(Han Yulong)氏の夫妻は共同資産35億元(約624億円)で初めてランク入りした。中国では新しいタイプのティードリンクやコーヒーなどの人気が急激に高まっており、創業者にも莫大な富をもたらしている。

 製造業からランク入りした富豪の人数や資産額はどちらも増えた。人数はランク全体の27%を占めており、昨年から3ポイント増加。資産額は全体の24%を占め、5ポイント増加した。その中で、先進製造業が最も多い60%を占め、健康産業は10.8%で2位、不動産産業は引き続き減少し9.4%で3位、化学産業は6.4%上昇し4位になった。(c)CNS/JCM/AFPBB News