【11月25日 CNS】中国では3人家族の世帯が減少し、1人世帯が増加している。民政部によると独身人口は2018年に2億4000万人に達しており、特に若い独身人口が急増。「個人化」「小衆化」されたビジネスモデルが生まれ、食事や娯楽、各種サービスで「独身経済」が活発となっている。

 日本や韓国の飲食業界が1人用の食事サービスを取り入れているように、中国でも同様のサービスが拡大している。バーベキューレストランや火鍋料理店、日本料理店など40種類以上の店舗が1人用のメニューや1人向け個室を設けており、市場規模は62億5000万元(約1125億6000万円)に達している。

 食品デリバリー業界も、「外出したくない」「料理をしたくない」という独身世帯向けのビジネスを展開している。中国のフードデリバリー大手の美団(Meituan)がまとめた「2019年と2020年上半期のフードデリバリー産業開発リポート」によると、デリバリーの利用客のうち1人暮らしは44.6%を占めている。全体の67%は「外出したくない」という理由で食事を注文している。

 カラオケ、ボウリング場、旅行会社など従来は団体客を相手にしていたレジャー・娯楽産業も「1人遊び」のニーズをつかもうとしている。セルフサービスのミニカラオケ個室、1人旅プラン、1人用フィットネスなどの新しいビジネスが登場している。

 オンラインショップのサイトでも、1人用の小型ケトル、ミニ冷蔵庫、ミニ電気鍋などの家電が「標準装備」に。独身者が孤立感を紛らわせようとペットの猫と犬の需要も高まっており、「おはよう」「おやすみ」といったあいさつやお祝いの声をかけるサービス・商品が人気を博している。

 一方、「独身経済」の高まりは長期的には課題もある。中国では男性人口と女性人口のバランスが不均衡で、若年層ほど男性人口が多い。教育レベルの向上もあって未婚化や晩婚化の傾向が強まり、離婚率も上昇している。「独身経済」が活発になることは若者が独身であることを後押しすることにつながっているという見方もある。(c)CNS/JCM/AFPBB News