【1月28日 東方新報】世界の貴重な湿地を保護するラムサール条約に中国が1992年に加盟してから、今年で30年を迎える。急激な経済成長に伴い一時は湿地の減少や環境破壊が進んだが、長年の取り組みで湿地は回復を続けている。今年11月にはラムサール条約第14回締約国会議が湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で開催される。ラムサール条約締約国会議が中国で開かれるのは初めて。30年にわたる湿地保護の成果をアピールする場となる。

 中国はラムサール条約加盟以来、湿地の基礎調査(1992~2003年)、緊急性の高い湿地の保護活動(2004~2015年)、湿地の包括的保全(2016~2021年)の3段階に分けて湿地保護に取り組んできた。

 その道のりは必ずしも順調ではなかった。中国国家林業局は2014年、第2回全国湿地資源調査の結果、国内の湿地面積は5360万2600ヘクタールで、2003年の第1回調査時より339万6300ヘクタール減少(8.8%減)したと発表した。気候変動や経済成長、人口増加に伴う環境破壊が原因とみられる。一方で湿地保護面積は10年間で525万9400ヘクタール増加し、湿地保護率は30.4%から43.5%に上昇していた。

 そして第13次5か年計画(2016~2020年)の期間中は湿地面積が20万ヘクタール以上増加。湿地保護率は52.6%に向上し、湿地面積も保護率もともに上昇カーブを描くようになった。2019年には、東アジアからオーストラリアに至る渡り鳥にとって特に重要な中継地である中国の黄海・渤海の湿地が世界遺産に登録された。

 湿地は森林や海洋と並ぶ世界3大生態系の一つ。水質の浄化、気候の調節、生物多様性の維持といった多くの役割を担い、「地球の腎臓」「種の遺伝子バンク」とも呼ばれている。湿地が環境汚染を浄化し、気候変動に対する重要な役割を担うことで、経済的ロスを減らし、人々が安定した環境で生活を営むことにつながっている。国家林業・草原局湿地司の呉志民(Wu Zhimin)司長は「湿地の修復、保護により、500億元(約8975億円)超の経済成長をけん引した」と強調する。

 広大な湿地の保護・管理は複数の行政部門にまたがるため、統一した管理体制の難しさが長年の課題だったが、中国は今年6月1日から「湿地保護法」を施行する。湿地の管理体制を明確にし、行政部門間の協力メカニズムを構築する。多くの生物・植物が生息し、水鳥が舞う湿地の光景が、今後さらに中国各地で見られそうだ。(c)東方新報/AFPBB News