【6月25日 東方新報】中国自動車工業協会によると、中国の新エネルギー車(NEV)保有台数は5月末で約580万台となり、世界のNEVの約50%に達した。NEVは中国経済をけん引する成長産業に発展し、国内の深刻な大気汚染を改善し、さらに二酸化炭素(CO2)排出削減を国際的にアピールする「一石三鳥」の役割を果たしているが、課題も浮き彫りになっている。

 1~5月の中国のNEVの生産台数は96万7000台、販売台数は95万台に上り、前年同期比2.2倍、市場浸透率は8.7%に達した。4月時点で充電ステーションは6万5000か所に増え、176都市をカバーしている。

 中国のNEVの生産・販売台数は6年連続で世界第1位。今後5〜8年間に中国では旧基準の中古車が大量に淘汰(とうた)され、NEV市場がさらに発展すると予測されている。中国自動車工業協会副会長兼事務局長の付炳鋒(Fu Bingfeng)氏は6月18日の第11回中国自動車フォーラムで「今後5年間、中国の電気自動車の生産と販売の成長率は40%以上を維持し、2025年にはシェアは20%を超える」と見通しを語った。

 中国政府は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を推進するため、メーカーに販売補助金を出し、購入する消費者には減免措置をしてきた。世界経済フォーラム(WEF)執行委員会のメンバー、クリストフ・ウルフ(Christoph Wolff)氏は「中国市場は政策主導型から市場主導型へと移行しつつあり、さまざまな新しい技術、製品、ビジネスモデルが登場している」と今後の成長の見込みを語っている。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年9月、国連総会のオンライン会合で、2030年までにCO2排出量をピークとし、2060年までに排出量を差し引きゼロとするカーボンニュートラルを目指すと発表した。NEVはその目標実現に向けた推進エンジンとなる。

 一方で、課題もある。NEVの充電ステーションは一部大都市に偏重している。設置エリアは広東省(Guangdong)、上海市、北京市、江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)、山東省(Shandong)などトップ10地域で7割以上を占め、多くの省や中小都市で著しく不足している。

 また、地域によって充電ステーションの稼働率が低い問題がある。充電器の故障率が高く、定期的なメンテナンスが行われていない「放置ステーション」もある。中国全土に充電ステーションを広げ、稼働率を高めていくことができるかが今後の成長のカギとなる。(c)東方新報/AFPBB News