【1月21日 CNS】午前9時、中国・吉林省(Jilin)長春市(Changchun)寛城区(Kuancheng)で、地域の情報管理者を務める王氷(Wang Bing)さんが一日の巡回を始めた。

「団地の10号棟の廊下に古いソファが放置されています」。王さんは微信(ウィーチャット、WeChat)の「ごみ分別グループチャット」に通知し、地域のごみ分別専門員の柳旭(Liu Xu)さんに電話。柳さんから連絡を受けたリサイクル会社が、24時間以内にソファを搬送していく手はずを取った。

 長春市ではごみの分別を細分化しており、市民の意識も高まっているが、古くなった家具などの粗大ごみの処理が課題となっていた。そこで長春市は昨年10月から、寛城区で新たなリサイクルプロジェクトを試行。粗大ごみが放置された場所から直接、リサイクル会社が引き取る方式を取り入れた。

「路上や団地の廊下にたびたびテーブルや椅子、ソファがこっそり捨てられるが、市の環境衛生担当がいちいち回収するのは困難。さらに金目のものを探して廃品を解体する者もいて、残骸が放置されて安全面と衛生面で問題になっていた」と振り返る王さん。昨年10月からは地域の情報管理担当者が粗大ごみを発見し、担当の専門員に連絡すれば、専門員がリサイクル会社に連絡する仕組みとなった。

 リサイクル会社は専用車両で粗大ごみをリサイクル選別センターに運び、ごみを解体、分別する。リサイクル会社の責任者、郭金越(Guo Jinyue)さんは「粗大ごみを木材、皮革、スポンジ、金属、繊維などに選別して圧縮した後、原材料として再加工する業者に引き渡します。木くずは圧縮してペレット燃料にも使われます」と説明。「ごみは『宝物』に変わり、別の形で人々の生活に戻っていきます」と語った。

 長春市は今年5月、再生可能資源のリサイクル制度を全面的に導入する方針。リサイクル産業を支援し、家庭ごみの収集・搬送ネットワークと再生可能資源回収ネットワークを同時に構築していく。(c)CNS/JCM/AFPBB News