【1月15日 AFP】フランスの批評家による酷評を乗り越え、1980年代を代表する映画『ベティ・ブルー/愛と激情の日々(Betty Blue)』を手掛けた仏映画監督のジャン=ジャック・ベネックス(Jean-Jacques Beineix)氏が死去した。75歳。

 ベネックス氏は、後に『フィフス・エレメント(The Fifth Element)』のリュック・ベッソン(Luc Besson)監督が取り入れた映画運動「シネマ・デュ・ルック」のパイオニアだった。家族がAFPに明らかにしたところによると、長い闘病の末、今週パリの自宅で亡くなった。

 1981年の第1作『ディーバ(Diva)』は当初酷評を浴びたが、海外で多くの賞を獲得した後、フランスでもヒットした。ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)とナスターシャ・キンスキー(Nastassja Kinski)主演の2作目『溝の中の月(The Moon in the Gutter)』も酷評され、ベネックス氏は1983年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)でのプレミア上映でブーイングを受けたことを「乗り越えることができなかった」と語っていた。

『ベティ・ブルー』は米国のアカデミー賞(Academy Awards)とゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)、英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)で数々のノミネートを受けたが、フランスの批評家は気取っていて退屈な作品と評価。だがそれでも、主演の女優ベアトリス・ダル( Beatrice Dalle)を起用した同作のポスターは、世界中のファンの寝室を飾った。

 日本の漫画の愛好家だったベネックス氏は、アジアと欧州の映画監督が共同で、ハリウッド(Hollywood)の「産業機械」に代わる潮流を生み出すことを夢見ていた。(c)AFP