【1月14日 CNS】呉建平(Wu Jianping)氏は中国・浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)でクリスマス紙製品業を営む経営者だ。先日、「浙江日報(Zhejiang Daily)」の取材を受けた彼女は、これまで主に対外貿易ビジネスに携わってきたが、中国国内の春節(旧正月、Lunar New Year)の年画(春節に掛ける吉祥を表す絵)市場の開拓に力を入れ始めたと語った。

 呉氏の会社のモデルチェンジは個別のケースではない。コロナ禍や原材料の値上げ、海運の逼迫など一連のショックを受けた義烏は、世界の「クリスマス工場」の称号を持つ中国の都市で、国内外市場を両立させ、苦境を突破する道を模索している。

 義烏税関のデータによると、2018年に義烏市のクリスマス用品の輸出総額は16億元(約287億円)を超え、全世界のクリスマス用品市場で80%のシェアを占めている。米紙「ワシントン・ポスト(Washington Post)」によると、世界中のクリスマスに義烏は欠かせないという。

 しかし、今年の「コンテナ1つも手に入らない」という海運事情は、クリスマス用品の納品スケジュールを狂わせている。かつて7〜10月が出荷のピークだったが、11月になっても出荷量は減らず、価格も8月より15〜20%値上がりした。

 さらに売買双方にとって心配なのは、クリスマス前に商品が店頭に届かない可能性があることだ。国営中国中央テレビ(CCTV)のニュースによると、米ロサンゼルスとロングビーチの両港では、現在もコンテナの在庫が飽和状態で、大量の貨物船が接岸できないという。

 中国国務院常務会議はこのほど、対外貿易の安定化に向けた一連の措置を打ち出した。人民元の為替レートを基本的に安定させ、加工貿易企業に対する国内販売への延滞利息の徴収を暫定的に免除するなど、対外貿易企業の物流障害による圧力の緩和を試みている。

 実際、多くの経営者は2020年に早くも仕事の重心を元旦(1月1日)と春節市場に移し始めている。義烏小商品卸売市場の公式取引プラットフォームである義烏購(Yiwugo)によると、今年プラットフォームでの注文は40%増加しており、そのほとんどは国内のバイヤーによるものだという。社長の王建軍(Wang Jianjun)氏によると、コロナ禍の影響で海外需要が緊縮しており、特に上層部が国内経済の循環を主とし、国際と国内の双循環が相互に補助する新たな発展構図を打ち出してから、多くの義烏の事業者が輸出から国内販売への転換を重視し始めている。中国国内の巨大な市場と完備した販売システムにより、義烏の商品はより多くの販売先を持っている。

 中国商務部のデータによると、中国は現在世界第2位の消費市場で、消費は6年連続で経済成長の第1の牽引力となっている。政府は、内需拡大は対外貿易企業の圧力緩和を支えるのに役立つと考えており、同時に中国も対外開放のレベルをより高く保ち、対外貿易企業の輸出を奨励し続けている。

 国内の商取引と対外貿易の同時発展を踏まえ、義烏は新たな市場チャンスに直面しており、更なる飛躍とモデルチェンジを実現するには政府部門、業界協会、企業など各業界の協力が必要となる。中国商務部の『「十四五」対外貿易高品質発展計画』は、今後競争優位性を備えた中小サービス貿易企業を育成し、企業が「専精特新(専門性・精密化・差別化・新規性)」の発展路線を歩むことを支援し、グローバル産業分業協力に積極的に溶け込むことを明確に示している。(c)CNS/JCM/AFPBB News