【12月29日 AFP】(更新)香港警察は29日、地元ネットメディア「立場新聞(Stand News)」の強制捜査を行い、「扇動出版物の発行を共謀」した容疑で7人を逮捕した。これを受け同紙は同日、配信を停止すると発表した。

「立場新聞」はフェイスブック(Facebook)に、林紹桐(パトリック・ラム、Patrick Lam)編集長代理が辞職し、全従業員を解雇すると投稿。ウェブサイトとソーシャルメディアのページも更新されず、間もなく削除される。

 香港では、2年前の民主派による大規模デモや国家安全維持法(国安法)の施行以降、地元メディアに対する圧力が強まっている。

 AFP記者は、林氏が手錠を掛けられ、事務所に連れていかれるのを確認した。

 立場新聞は29日未明、同紙幹部、陳朗昇(ロンソン・チャン、Ronson Chan)氏の自宅を治安警察が訪れる様子をフェイスブックでライブ配信した。

 映像で警察は陳氏に対し、英国植民地時代の法律に基づき「扇動出版物の発行を共謀」した容疑で令状が出ていると説明。家宅捜査をしたものの、逮捕はしなかった。

 香港では今年6月、民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」が発行停止に追い込まれた。

 当局は立場新聞を繰り返し非難していた。鄧炳強(クリス・タン、Chris Tang)香港保安局局長は今月、立場新聞が刑務所内の環境について「偏見・中傷し、汚名を着せる」ような記事を報じたと糾弾した。

 地元メディアによると、鍾律師(Chung Pui-kuen)前編集長も自宅が家宅捜査を受け、逮捕された。この他、ポップス歌手の何韻詩(デニス・ホー、Denise Ho)氏や弁護士の呉靄儀(マーガレット・ン、Margaret Ng)氏らも逮捕された。(c)AFP