【12月25日 CNS】車購入や車利用コストの大きな圧力の下で、「予約するとすぐ迎えに来る」「柔軟で便利」なネット配車サービスは、現在台頭している新たな移動手段となっている。低コスト、駐車の必要なし、乗り心地の良さなどの優位性のおかげで、中国国内のネット配車市場はすでに静かに潜在力を秘めた新たなブルーオーシャンとなっている。

 大衆交通集団(Dazhong Transportation)はこのほど、大衆出行が増資による持分拡大のために投資家の阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)を誘致する予定で、2期に分けて計4000万元(約7億1776万円)を大衆出行に投資し、持株比率は10%に達すると発表した。

 これに先立ち、アリババと螞蟻科技集団(アント・グループ、Ant Group)は2億8000万ドル(約320億円)で哈啰出行(HelloBike)に出資した。1か月の間に、アリババは2社の配車サービスプラットフォームに連投した。これは2年間静かだったネット配車市場が、再び資本を獲得したことを意味する。

 交通運輸部のデータによると、現在、250社近くの配車サービスプラットフォーム会社が営業許可を取得しており、1日平均の受注量は2100万件前後だという。

 T3出行(T3 Chuxing)の崔大勇(Cui Dayong)CEOの計算によると、配車サービスプラットフォームの受注量は1日平均500万件が均衡点で、この規模ではコストと収入は拮抗(きっこう)することになるが、1日平均1000万件にいかないと黒字ラインに達することができないという。

 一方、滴滴出行(Didi Chuxing)の1日の受注量は最高で3000万件に達したが、この3年間で353億元(約6334億円)の赤字も出し、配車サービスプラットフォームの黒字化が困難なことが明らかになった。コンプライアンスのための高額維持管理コストは、規模が大きくなれば重くなるだけだ。

 2年ほど続いている新型コロナウイルスの感染拡大による影響を加え、人々の移動手段に影響を与えているだけでなく、ネット配車サービス市場全体の構図と苦境も拡大させ、「お金バラマキ大戦」と集客、利益獲得困難との間の矛盾の激化が続いている。

 これと同時に、政策の強化や監督管理の引き締めに伴い、収益性と持続可能な開発の間でどのようにバランスを見出すかが、各ネット配車サービス企業の重要な戦略的考慮事項となっている。

 曹操出行は9月6日、総額38億元(約682億円)に達するシリーズBラウンドを完了したと発表した。今回は今年に入ってからネット配車企業が獲得した初の国内株式投資となる。

 これに続き、T3出行は9月23日に新たな戦略的資金調達を完了した。前回のラウンド(2019年のエンジェルラウンド)から2年4か月が経過していた。今回の資金調達額は77億元(約1382億円)に達し、これは2018年から現在まで、ネット配車会社が獲得した中国国内最大の1回限りの資金調達でもある。

 ひと月に2件の融資が相次ぎ、冷え込みつつあるように見えた配車サービス業界に再び注目が集まっている。業界には、曹操出行、T3出行、美団打車(Meituan Dache)、高徳打車が次の段階の同業界の競争を主導するとの見方がある。

「曹操出行、T3出行が相次いで融資獲得を発表したのは、資本市場が引き続きネット配車を期待していることを示している」。調査会社・易観(Analysys)の配車サービス上級アナリストの何奇(He Qi)氏は、資金調達規模から見れば、資本がトッププラットフォームに集まりつつあり、マタイ効果が現れ始めていると説明した。

 5年前の滴滴出行、快的打車(Kuaidadi)の「両雄争覇」と比べ、今のネット配車市場はもはや二者択一ではない。多元的な勢力による競い合いと角逐も、配車サービス業界ビジネスの予見をさらに困難にしている。

 配車サービス業界アナリストの盧布(Lu Bu)氏は、資本の参入に伴う同業界の新たな競争構図の必然的なけん引、業界全体へのポジティブな影響により、直接利益を受けるのはネット配車の運転手と乗客だと述べた。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News