【12月16日 CNS】中国政府は7月24日、学校の宿題と学習塾通いによる子どもの負担を減らす「双減」政策を発表。学校が与える宿題の量を大幅に制限し、民間学習塾は実質経営ができなくなった。「これは、中国の教育改革が重要な時期に入ったことを意味する」。北京師範大学(Beijing Normal University)精神保健教育研究所の所長で、教育部家庭教育指導専門委員会の辺玉芳(Bian Yufang)事務局長はそう強調する。

「双減」政策の実施以来、大きな変化が現れた。子どもたちの登校時間は遅くなり、宿題のほとんどは学校で済ませ、週末に課外授業を受ける必要はなくなった。そこで生まれた新たな時間を子どもたちはどう使うべきか。それは親にとって大きな課題になっている。

 中国では10月に「家庭教育促進法」が成立し、来年から施行される。家庭は子どもにとって「最初の教室」であり、保護者は「最初の教師」ということを意識し、家庭が子どもの教育に責任を持つよう求めている。

 家庭教育における最大の問題として、多くの親がスマートフォンを挙げる。親子間の不和はスマホの使用を巡って生じることが多く、一部の親はスマホを「家庭内の不規則爆弾」とさえ呼んでいる。

 これに対し中国人民大学(Renmin University of China)教授で中国心理学会理事の雷靂(Lei Li)氏は「調査によると、若者がインターネットを使って行うことの1位は学習で、情報の収集や宿題のために使用している。2位は音楽を聴くことで、その後はゲーム、チャット、ショートビデオ鑑賞が続く」と指摘。両親が思うほど問題は深刻ではないとしている。

 北京市家庭教育研究会の惲梅(Yun Mei)事務局長は「子どもがネット依存症になるのを防ぐ必要はあるが、親が単に子どもをネットからブロックするのは避けるべきだ。子どもとネットは切り離せない」と指摘する。

 家庭での教育の話題になると、「時間がない」「忙しすぎる」と理由を付け、勉強は学習塾や教師任せにする親は多い。

 辺玉芳事務局長は「コロナ禍が始まって以降、親子が家庭で過ごす時間は増えたが、親子の対立も明らかに増えている。つまり、家庭教育は時間の問題ではない。親が子どもと向き合う方法を知らないことが問題なのです」と指摘する。

 中国メディア「中国青年報(China Youth Daily)」のアンケートによると、親の80.7%は「家庭教育に大きな困惑を抱えている」と回答。同時に94.7%は「家庭教育促進法が教育に対する不安を和らげるのに役立つ」と期待している。

 中国青少年研究センターの2015年の調査によると、子どもの2割近くが母親と一緒に夕ご飯を食べる回数が週2回未満で、3割近くが父親と一緒に夕ご飯を食べる回数が週2回未満だった。親が教師と同じように子どもを教育する必要はない。子どもと一緒に食事をして、子どもを見守り、親子の距離を近づけることが求められている。(c)CNS-中国青年報/JCM/AFPBB News