【12月17日 CNS】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の対話関係樹立30周年を記念したサミットが先月22日、オンライン形式で開催された。中国にとって今年最も重要な周辺国外交の取り組みであり、習近平(Xi Jinping)国家主席とASEAN諸国の首脳は共同声明で、

中国とASEANの関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすると発表した。

 中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究所の許利平(Xu Liping)研究員は「中国とASEANの関係はこの30年間で進歩を遂げてきた。新たに包括的戦略パートナーシップが確立されることで、政治、経済、貿易、文化などさまざまな分野で一層の協力が進む」と話す。

 中国とASEANは1991年に対話関係を樹立。1997年のアジア金融危機で急速に協力を深め、2003年には戦略的パートナーシップを結んだ。2013年には両者が運命共同体を構築していくことに合意しており、中国とASEANは10年程度ごとに関係を強化している。

 中国外交学院(China Foreign Affairs University)アジア研究所の郭延軍(Guo Yanjun)所長は「双方は政治的、戦略的な関係を強化すると同時に、経済的にも相互依存を深めてきた。対話関係樹立30周年を機に、双方の関係は最高潮を迎えている」と評価する。

 この30年間、中国-ASEAN間の貿易の年間平均成長率は2桁を維持し、相互の投資は3000億ドル(約34兆830億円)を超えている。コロナ禍以前は双方の訪問者数は6500万人を超え、週に約4500回のフライトがあり、留学生は20万人を超えた。

 コロナ禍において中国はASEAN諸国に1億5000万回分のワクチンを無償で提供し、ASEANの新型コロナウイルス対応基金に500万ドル(約5億6800万円)の寄付を追加。ワクチンの共同生産と技術移転を促進し、ASEAN諸国の公衆衛生システムの構築と人材育成を支援している。

 包括的戦略パートナーシップの枠組みの下、中国は開発支援として今後3年間でさらに15億ドル(約1700億円)と、1000項目の先進的な応用可能技術をASEANに提供。今後5年間で300人の若手科学者を受け入れる。

 許氏は「包括的戦略パートナーシップは経済、貿易の協力関係を力強く推進する」と指摘。来年は地域的な包括的経済連携(RCEP)が発効され、域内の投資や貿易環境はさらに改善される見通しだ。対話関係30周年記念サミットは、中国とASEANの協力関係を加速させる大きな出発点となった。(c)CNS/JCM/AFPBB News