【12月7日 CNS】7月に「塾禁止令」が発表された中国で、大手学習塾が職員の給与削減、解雇、事業停止などを経た末、義務教育向けサービスの提供を終了すると次々発表している。

 中国政府は7月24日、学校の宿題と校外学習による子どもの負担を減らす「双減」政策を発表。民間学習塾には非営利団体に転換するよう求め、休日の教育サービス提供を禁じており、事実上の塾禁止令といわれている。発表から114日後の11月15日、学習塾大手の新東方教育科技集団(New Oriental Education & Technology Group)、学大教育(Xueda)、高途(Gaotu)はK-9(義務教育)サービスを年内に終了すると発表した。

 新東方は「わが社ではK-9サービスの収入は全体の約50~60%を占めていた」と公表し、経営的に大打撃を受ける見通しを示した。今後は義務教育段階に関係ない受験準備コースや成人向け語学コースに力を入れるほか、新しいビジネスを模索するという。

 学習塾大手の1つ、好未来(TAL)も3社に先立つ11月13日にK-9サービスの年内終了を発表。IT企業の網易(NetEase)は16日、同社が運営するポータルサイト「有道(Youdao)」で展開していた校外学習事業を年内に終了すると表明した。

 業界関係者の間ではこうした動きを「学習塾業界のダンケルク式撤退」と呼んでいる。第2次世界大戦でナチス・ドイツの攻撃に追い詰められた英仏連合軍の兵士数十万人がフランス・ダンケルクから英国本島に脱出した史実になぞらえているが、「ノルマンディーから再上陸を果たした連合軍とは異なり、彼らはもう戻ってこないだろう」と言われている。

 K-12(小中高校)向け教育サービスを展開してきた新東方傘下の東方優播CEOの朱宇(Zhu Yu)氏は「業務をたたんだ後は貧しい山村で1〜2年間教育支援活動に取り組み、国家の繁栄に貢献したい」と語っている。

 新東方創業者の兪敏洪(Yu Minhong)氏はインターネットのライブ配信で「1500か所の学習塾にある机といす約8万セットを地方の学校に寄贈する」と表明。「立派な退場」として評判となっている。兪氏は今後、新東方で大規模な農業ビジネスを始め、失業する数百人の講師とともに農産物のライブ販売を始める構想を明らかにしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News