【8月12日 CNS】香港株式市場で先月26日、教育関連銘柄の株価が急落した。正午を過ぎた時点で、学校・幼稚園を経営する博実楽教育集団(Bright Scholar)は40%超も下落し、学習塾大手の新東方教育科技集団(New Oriental Education & Technology Group)も40%近く下がった。ハンセン指数は6%近く下落し、最近1年間で最低レベルに達した。

 中国政府は7月24日、「学校での宿題の軽減と学習塾など校外教育の負担を軽減する」とした通知「双減」を発表。学習塾などの校外教育機関を非営利組織とする「脱資本化」を求め、就学前の児童に英語などを教えることも禁止とした。児童・生徒が「勉強漬け」になるのを防ぎ、家族の経済的負担を大幅に軽減することを目的とし、1人当たりの教育費の減少により少子化に歯止めをかける効果も期待されている。

 この通知は教育産業には大打撃となるため、株価は軒並み急落した。インターナショナル教育に取り組む民間企業の投資家は「株式を上場する計画があったが、現状では破産するリスクがある」と語る。この企業の主な収入源は授業料という。

 教育熱の高まりに応じて中国の教育・科学市場は活況を呈しており、教育関連のベンチャー企業やスタートアップ企業に昨年1年間だけで100億ドル(約1兆1066億円)もの投資が注ぎ込まれた。

 コンサルティング会社のフロスト・アンド・サリバン(Frost & Sullivan)は、2021年に中国の教育・科学産業の市場規模が8000億元(約13兆6550億円)を超えると試算。校外教育は若い家族に膨大な経済的負担をもたらしている。新東方教育の上場目論見書によると、幼稚園の年長から高校を卒業するまでの期間に校外教育を受けている総人数は、2015年の2億260万人から2019年には3億2530万人に増加した。

 教育省の担当者は「校外学習機関の管理においては、まだ解決されていない根本的な問題がいくつかある」と説明。学習塾などの規模が巨大となり教育界の秩序を混乱させる恐れがある上、法律に違反する行為が顕著だと指摘している。 今後は政府が校外学習機関に対する法規制やシステムを改善していくとしている。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News