【11月24日 AFP】中国が、高速ミサイル発射を伴う極超音速兵器の飛行実験を行ったことが、メディア報道から明らかになった。専門家は、中国にとって大きな飛躍ではあるものの、この高度な技術の実戦配備能力を有するかは疑わしいとしている。

 週末にメディア各社が報じたところによると、中国は7月、南シナ海(South China Sea)上空を滑空中の極超音速兵器から、音速の5倍以上の速度でミサイルを発射。米国防機関には動揺が広がっている。

 米国、ロシア、中国の3か国は、音速の5倍以上の速度を出す「極超音速滑空体」の実験を行ってきたが、今回のようなミサイル空中発射には成功していなかった。極超音速兵器は、圧倒的な速度と操縦性で敵の防衛システムを突破したり、撃ち込まれるミサイルを容易に迎撃したりすることが可能だ。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、事情に詳しい人々の話として、米国防関係者が今回の中国の実験に不意を突かれたと報じている。

 実験の詳細は明らかになっておらず、ミサイルが標的に命中したのか、そもそも標的があったのかどうかも不明。だがいずれにしても、多くの専門家が遠い未来の話と考えていた技術において、中国が予想外の進歩を遂げていることが、今回の実験により示された。

 中国専門家であるスウェーデンの安全保障・開発政策研究所(Institute for Security and Development Policy)のニクラス・スワンストローム(Niklas Swanstrom)所長はAFPの取材に対し、「今回の実験は中国にとって技術面での大きな飛躍となる」と認めつつも、「たとえ技術を持っていても、それを配備して戦闘活動に有効活用する能力があるかどうかはかなり不透明だ」と説明。「総合的な軍事技術の面では、米国が中国をはるかにしのいでいることを認識しなければならない」と指摘した。(c)AFP/Daphne BENOIT and Jurgen HECKER, with Helen ROXBURGH in Beijing