【11月17日 AFP】ロシア国防省は16日、ミサイルで自国の人工衛星を破壊する実験を行ったことを認めた。一方で、実験により国際宇宙ステーション(ISS)が危険にさらされたという米国の主張は一蹴した。

 米政府は15日、ロシアの衛星破壊実験によって追跡可能な破片1500個以上が地球の周回軌道に放出され、ISS乗組員が避難準備を余儀なくされたと発表。実験については事前に知らされていなかったとし、ロシアの「危険で無責任」な行為を非難していた。

 今回の実験は地上から宇宙機を攻撃するものとしては史上4番目で、宇宙での軍拡競争の激化に対する懸念を再燃させた。各国が開発を目指す宇宙兵器には、レーザー兵器や、他の衛星を軌道から外すことのできる衛星など、さまざまな技術が含まれる。

 アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は15日、危険はまだ収束しておらず、破片が今後も人工衛星やISSの活動を脅かし続けるとの懸念を表明。北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長も16日、今回の実験を「無謀」で「懸念すべき」行為と表現した。

 ロシア国防省は、1982年から地球を周回していた同国の人工衛星「ツェリーナD(Tselina-D)」をミサイルで破壊する実験に成功したと発表。一方で実験の危険性は否定し、「実験時間と軌道パラメーターの観点からみて、発生した破片が軌道上のステーションや宇宙機、宇宙活動に脅威を与えなかったこと、そして今後も脅威にはならないことは、米国も承知しているはずだ」と主張した。(c)AFP/Evan GERSHKOVICH