【10月31日 CNS】中国の雲南省林業・草原科学院のラン保護チームが雲南省(Yunnan)臨滄市(Lincang)鎮康県(Zhenkang)で、華白及(シラン属Bletilla sinensis <Rolfe>Schltr)の群生を発見した。世界自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定しているラン科の草本植物で、122年の時を経て姿を現した。

 華白及は9月29日に見つかった。かつては1898年に雲南省蒙自市(Mengzi)で収集され、英国のキュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew、キューガーデンズ)に保存。1903年にロンドン・リンネ協会の植物誌「Botanical Journal of the Linnean Society」で発表された。100年以上の歳月を経て野生では見られなくなり、3つの標本でしか現存していない。

 野生の華白及が見つかったことは、中国が生物多様性の保全に力を注いできた成果の象徴と言える。雲南省では1992年から2020年にかけて3718種の新種が発見されている。内訳は被子植物が1703種、地衣類(菌類と藻類が一体となった植物)が802種、大型菌類が570種、シダ類が183種、コケ類が56種、裸子植物が15種、魚類が215種、鳥類が60種、両生類が52種、哺乳類が31種、爬虫(はちゅう)類が31種となっている。

 また、西南林業大学(Southwest Forestry University)の徐正会(Xu Zhenghui)教授はこれまでに中国の半分以上を踏破し、調査チームとして8万種のアリを収集。4つの新属と105の新種を発表している。今後、「中国動物誌昆虫綱ハチ目アリ科」を出版する予定で、中国で最初にして完全な「アリの百科事典」となる。

 雲南省昆明市(Kunming)では10月11~15日に国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の第1部が開かれた。2030年までの世界の生物多様性の新目標を議論し、包括的かつ強制力のある枠組みを目指している。 

 並行して行われた非政府組織のフォーラムでは、中国では社会のさまざまな部門と政府が協力し、生態系保護の法律整備や科学的、技術的支援に取り組んでいることを紹介した。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の学者の方精云(Fang Jingyun)氏は「中国は世界で最も生物多様性に富んだ国の1つだ。緑豊かな土地、青い空、澄んだ水が絶滅危惧種を含むあらゆる種類の生存、成長、繁殖のための空間を提供している」と強調。生物多様性の保護とは単に希少種を「囲い込む」のでなく、生物多様性全体の保護を実現することが重要と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News