【10月29日 AFP】米インディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(Indianapolis Motor Speedway)で今月23日に開かれた自動車レースでは、人間のドライバーではなく、自律走行車のアルゴリズムが優勝を目指して競い合った。優勝チームのマシンは平均時速218キロを記録し、自律走行車の新時代の幕開けとなった。

 自律走行車のレース、第1回「インディ・オートノマス・チャレンジ(Indy Autonomous Challenge)」で優勝し、賞金100万ドル(約1億1000万円)を獲得したのは、ドイツのミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)チームだ。2周走行して平均時速を競うレースで、時速218キロを記録した。

 欧州の大学合同チーム、ユーロレーシング(EuroRacing)は、ラップタイム(1周の所要時間)では自律走行車として最速の時速223キロをたたき出したにもかかわらず、走行距離を規定より1周少なく設定するというプログラミングのミスを犯し、優勝を逃した。

 欧米の大学合同チーム、ポリムーブ(PoliMOVE)は、レース中に車両のGPS機能に不具合が生じ、車両のコントロールを失った。

 各車両はセンサーとカメラ、レーダーを頼りに走行しているが、特にGPSがないと動作制御そのものが不能となる。そのため、GPSを2台搭載している車両もある。

■アルゴリズムを公開して活用へ

 各チームが使用する車両は、「フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)」のレーシングカーよりも小型の「ダラーラ(Dallara)IL-15」。1台23万ドル(約2600万円)で、自動運転技術の草分け企業、ルミナー(Luminar)のセンサーを搭載。250メートル先の物体を検知できる。

 九つの大学チームはこの2年間、全車両が一斉に走行する形態でのレースに向けて準備を進めてきた。だが、主催者側が直前にルールを変更し、各車が順番に走行してタイムを競い合う形式に切り替えられた。

 しかし、この少し前にインディアナポリスのルーカスオイルレースウェイ(Lucas Oil Raceway)で行われた別のイベントでは、各車両が同時にスタートし、抜きつ抜かれつのレースを展開した。

 商用の自動運転車業界は今回のレースに注目し、集まった寄付金は1億2000万ドル(約136億円)を超えた。参加チームの多くは、車両に使用したアルゴリズムの一部またはすべてを公開し、幅広い分野に活用する考えを示している。(c)AFP/Thomas URBAIN