【5月30日 AFP】米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)の車がオートパイロット機能で幹線道路を走る中、若い男性3人組がビールを脇に座席で踊っている。近くでは別の車も走っているにもかかわらず、誰もいない運転席のスピードメーターは時速105キロを指している──。

 動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」に投稿されたこの動画には200万近くの「いいね」が付き、シェア回数は10万5000回に上った。AFPが確認しただけでも、ソーシャルメディアには類似動画が数多く存在する。

 こうした行為は完全に違法である上、テスラの指示を無視している。同社製品には周囲の交通状況に合わせて速度を調整し、車線内でハンドル操作をアシストする「オートパイロット」システムが搭載されているが、これは「運転手が十分に注意を払い、ハンドルから両手を離すことなくいつでも操作を代わることができる」状況での使用を意図したものだとウェブサイトで説明している。

 また、運転手がシートベルトをしていない場合や、ハンドルを握っていないと感知された場合には、警告が出て、最終的にはオートパイロット機能が解除される。

 しかし、誤用は後を絶たず、テスラ車をだまして無人運転を可能にする動画も公開されている。

 ヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)を専門とするニューハンプシャー大学(University of New Hampshire)のアンドルー・クン(Andrew Kun)氏は、「問題なのはオートパイロットシステムを過信し、実際の能力以上のことを期待することだ」と述べ、「実際には『オートパイロット』ではないのに、そのように呼ぶことも問題だ」と指摘した。(c)AFP/Ali BEKHTAOUI