【11月6日 AFP】大手ソーシャルメディアはさまざまな画像を検閲し、わいせつと見なしたものを削除しているが、その中には旧石器時代の裸体のビーナス像など、数々の芸術作品も含まれている。こうした動きに芸術の都ウィーンの美術館・博物館は業を煮やし、際どいコンテンツで知られる有料サイトの利用にかじを切った。

 ウィーン観光局は大胆なPR戦略として9月、有料ソーシャルメディア「オンリーファンズ(OnlyFans)」にアカウントを開設した。10月中旬の時点ですでに数百人のユーザーが登録している。

 ノルベルト・ケトナー(Norbert Kettner)局長によると、「芸術における検閲およびアルゴリズムやソーシャルネットワークの役割について議論を立ち上げること」が主な狙いだという。

 美術館や博物館は「展覧会を宣伝しづらい」と不満を抱いており、それがヒントになったと局長は明かす。一部のソーシャルメディアのプラットフォームは、コンテンツがポルノか否かを判断する基準が非常に厳しいからだ。

 例えばSNS最大手の米フェイスブック(Facebook)は、2018年に行った検閲で悪評を買った。旧石器時代の傑作とされる彫像「ウィレンドルフのビーナス(Venus of Willendorf)」の画像をサイトから削除したからだ。

 この小さな像は現在、ウィーン自然史博物館(Natural History Museum Vienna)に恒久展示されている。

 ケトナー局長は、フェイスブックの判断は「あり得ない」と評している。この措置についてはフェイスブック側も後に「誤り」だったと認め、謝罪している。